モノにこだわる。

Lesson 7:愛着を感じるアンティ-クの家具

年を重ねてきたからこそ分かってきたこと、こだわりをもつこと、若い時には分からなかったものの価値や感性。今回からはインテリアの中でそういうことを感じるもの・・・アンティ-クの家具のご案内をしていきます。

 

「アンティ-ク」と一括りに言ってしまってもそれはあまりにも奥が深く、国や歴史など、それだけでそれぞれの専門分野が成り立っているほど深いもの。ここではそんなスゴイことに触れるのではなく、堅苦しいものではない、高価なものでもない、日常的に気軽に使えて愛着を感じるアンティ-ク家具をご紹介していきたいと思います。

■「アンティ-ク」って!?

アンティ-クというのは一般的には約100年以上を経過しているもののことを言うのだそうです。しかし実際、日常的に使用可能なものと言ったら、80年~100年くらい前のものが現実的でしょう。現代から遡って年代的には19201930年製くらいのもので1950年くらいまで使われていたものが現在目にするものには多いようです。そして、圧倒的に人気なのはイギリス製。香港など、東南アジアを経由して日本に入って来たものが多くあり、それらはイギリス製として市場に出回っています。輸入量も多い分、価格も比較的お手軽で数も多く、運が良ければダイニングチェアなど脚がセットで揃えられることもあります。

 

家具は分類して、大きく「箱モノ」と「足モノ」に分かれますが、その中で今回はアンティ-クの中の「箱モノ」を見ていただきます。ちなみに「箱モノ」とはキャビネットやワードローブと呼ばれるタンス、サイドボードやカップボードなど、いわゆる収納ができる箱型の家具のことをいいます。そして「足モノ」とは足があるもの、テーブルやイス類のことです。

 

■フランスのこだわり?

写真は「バフェ」と呼ばれるサイドボードです。年代は1930年頃でフランス製。緩やかな曲線の扉と深めの引き出し、味わいのある木製の引手がお気に入り。「buffet」はフランス語で、英語の「サイドボード」と呼び方が違うだけだと思いますが、英語のサイドボードというのは範囲が広く、大きさや用途がさまざまです。フランス語の「バフェ」と呼ばれるものは高さが腰高で奥行がある程度深くできているのが特徴です。

 

フランス語で「コモド」とよばれるサイドボードもありますので、これが所謂、サロンやリビングルームなどに置く飾り棚のような装飾性のある調度品なので、「バフェ」とは英語でいうカップボードやドリンク・キャビネットのような使い方をするちょっとした軽食なども用意できるような実用的な調度品なのではないかと思われます。華美な装飾より機能性を重んじた作りで頑丈そうに出来ています。アンティ-クのもう一つの特徴である重量感があり、運搬には苦労するというものです。昔の人、もしくは西洋の人はそんなに容易に家具を運び出すことはしないのでしょうね。

 

■愛おしい!? アンティ-ク家具

天板や面材の艶やキズなどを見ていると、この家具が関わってきた歴史を想像します。自分よりずっと先輩の家具を想うと自分の存在が小さく見えたり、まだまだ若いと感じたり、励まされたり、慰められたり・・・こんな感傷に浸れるのも「アンティ-ク家具」の大きな特徴でしょう。

 

次回もアンティ-クの家具をご案内していきます。

 

 

2011.8.16