モノにこだわる。

Lesson 9 : エレガントで頼もしい「足モノ」家具の魅力

今回は引き続きアンティ-ク家具の第3弾「足モノ」家具のテーブルとチェアをご紹介をしていきます。

 

アンティ-ク家具の脚部で人気のあるものは「猫足」と呼ばれる曲線形状で彫り物などを施しているもの。長さや太さによってもイメージは変わりますが、長いものはエレガントに感じ、短い脚は実際の猫と同じく可愛くしっかり地に着いているという感じがしますね。それにアンティ-ク家具の特徴でもある脚部が天板や座面から離れず一体成型になっていることから、見た目のエレガントさとは裏腹に実際は丈夫でしっかりしています。かなりの重量もあり、椅子などはレディが片手で動かせるものではありません。

■多用途に重宝なオーバルテーブル

右の写真はダイニングテーブルに代用している楕円のテーブルです。ダイニング用のテーブルならばもう少しサイズが大きくなければなりません。この大きさで楕円型のテーブルもよく見かけますが、ダイニング用の場合は伸縮式になっているものが多く、このままの大きさのテーブルはティーを楽しむためのテーブルや写真やインテリア小物、大きな花瓶などを飾るテーブルとして部屋の片隅に置かれていたりするものです。

天板近くの脚部付け根部分などの張りも丈夫そうで、エレガントなアンティ-クならではの形状になっています。

 

■曲線豊かな存在感のある椅子

「足モノ」であるテーブルや椅子を日常的に使うことを考えるとき、まずは大きさや高さなどの機能性、部屋全体を考えた時の素材感やインテリアのイメージ、装飾性など、それは現代のインテリアを構築する場合に考えることとまったく同じであると思われます。

しかしながら、アンティ-クの椅子に限って言えることは、ただ座るためのものではなく、部屋全体のアクセントやインパクトのある空間を構成するために使う便利は小物として配置する場合があります。工芸品としての調度品でその姿全体が美しく存在感があるものです。左の写真は大げさな工芸品とは違い、日常に使うダイニングチェアですが、これを現代で使う場合は、重量があって実用的な使用感としてはあまりお薦め出来ませんが、現代のモダンな空間にもミスマッチとして空間のアクセントになるものです。

■アンティ-ク家具に想うこと

このシリーズの冒頭にも触れたように、アンティ-ク家具に魅力を感じるようになったのは、私自身が年を重ねてきたからなのか、それともこの仕事に携わるようになって、いろんなものに触れ、他と比較して好きになったのか、無責任ながらはっきり分かりません。若い時は、古いものはダメ! キズがついてるし、色も剥がれている、臭いもイヤ!としか感じなかったものが、それらがすべて価値のあるものだと感じるようになりました。そしてアンティ-ク家具の不変的な丈夫さにも敬服します。100年経ったテーブルや椅子もちょっと手を加え、削ったり、磨いたりするだけで生まれ変わる! これもアンティ-ク家具など、木で出来たものの魅力といえるでしょう。最近の古民家など木造建築の移築などでもそれは大いに実証されています。釘一本使われていないものの方が丈夫だったりする・・・。自然の偉大な空間に生きているものとして、人間も木も同じであると考えます。アンテ-ク家具のように皆から愛され大事にされ、何年もの間、語り継がれていくような存在になれたら人間として生まれて本望というところではないでしょうか。

2011.10.17