ものにこだわる。

〈番外編〉本物のスゴさがわかるエイジング

年を重ねる意味について考える時間が増えてると感じる昨今です。季節ごとの自然を素直に愛で、感謝し、生きてる意味を噛みしめる・・・

 

梅雨に入り、そうだ! アジサイでも見に行きたいなぁと思っていた頃、スゴイ物を見せてあげるという誘いで西伊豆まで行くことに・・・。西伊豆は温泉めぐりのひとつとして何度か訪れたことはあったものの、そんなスゴイものなどあったっけ?というのが本音でした。まぁ、泉に入れればそれはそれで良いかと半ばあきらめ(?)に近い気持ちもあり、誘われるがままに行くことにしました。

■象牙美術宝庫 世界最大級!?

西伊豆土肥温泉「象牙美術宝庫」
西伊豆土肥温泉「象牙美術宝庫」

なぜ、こんなところにこんなにスゴイ美術品があるのか!!?? 西伊豆の土肥(とい)にある、外観は大道具の美術屋さんの倉庫かと思われるような建物の中に、なんと「宝物の山」と言っても過言ではないものを発見! 中国の象牙彫刻70点を中心に世界最大の宝石屏風や両面刺繍、翡翠彫刻など、展示作品は280点。そのいずれも中国の国宝級で象牙彫刻は台湾の故宮博物院を凌ぐと言われており、ワシントン条約により象牙の輸入が禁じられた今、一同に見られるのは世界的にここだけ!という貴重なスポットらしいのです。

■個人所有で数十億円!!!

「!!??」で始まった鑑賞でしたが最初に驚いたのが所有者がなんと個人。しかも桜餅を包む桜葉の漬元会社「山光」の社長「山元芳光」氏が昭和56年から中国での桜葉栽培の技術指導に取り組んだ際、象牙彫刻の美しさに惹かれ、仕事のかたわらに収集を始めて、気づいたら二十数年間で数十点、数十億円相当になってしまったということなのです。下世話な話、なぜ桜葉の漬物でそんなに儲けられるのか!?と、そんなことしか思い浮かばないのは私だけではなかったはず・・・と思いたい。複雑な気持ちと驚きの連続で「スゴ~イ!!!」と皆、口走るようです。

■驚愕!神業!

写真「五十層天球」はひとつの象牙に模様を彫刻しながら中へ中へ彫り続け、それらは五十層に分離し、それぞれがくるくる回るようになっており、下層を彫るためには最初に彫った小さな穴から道具を使い彫り進め、下層へ下層へと五十層になるまで彫って行った、気の遠くなるような作品です。中には親子三代で70年を費やした作品やルーペでしかその表情をみることが出来ないような作品もあり、まさにその神業的な中国人の匠には完全に脱帽です。

■本物の価値ある美しさ

象牙彫刻もさることながら、大型彩石象嵌屏風や写真にある翡翠彫刻も目を見張るものがありました。屏風は全長75mにもおよぶ「楊貴妃屏風」と紅、黄、緑と様々な色の天然石1500種を生かし、さらにダイヤ、真珠、水晶、翡翠、象牙等の宝石を使って作り上げた全長50mの宝石屏風「西遊記」も世界一のものだそうです。

 

天然素材の工芸品は実に贅沢で神業と人間の粋を集めた、まさに「これぞ芸術!」と思わせるものでした。

 

美しいものを見たり聞いたり、感動することに幸せを感じ、その連続でいかに生きるということが素晴らしいことかを感じられる人生でありたいと願って止みません。素晴らしい50才代を丁寧にゆっくり歩みたいものです。

 

 

2012.6.25