Lesson 1:さぁ、楽しいきもの人生へ

さぁ、皆さん。怖がらないで、箪笥の引き出しを開け、たとう紙を開いてみましょう。楽しいきもの生活が始まりますよ。

 

カビ臭いかも・・・、シミが出来てるかも・・・、虫食いが・・・、少し恐ろしいですね。何十年も箪笥のコヤシになっていて日の目を見ていない“きもの”達。お嫁入りの準備として、お母様が可愛い娘が嫁ぎ先で恥をかかない様にと、一生懸命に選んで買いそろえて下さったきものや帯。身につけなくては申し訳ないし、勿体無い。  

 

街で素敵なきもの姿の方を見かけると、「きものってやっぱり良いわね〜! 素敵!」と思わない方はいらっしゃらないでしょう? その都度、家にあるきものをおしゃれに着ることができたらと思われるのではないでしょうか。是非、着ましょう! きものは日本女性の女っぷりをあげてくれます。大人の女性は洋服よりもきものの方が数段素敵になりますよ。

 

「・・・とは思うのだけど、決まり事が沢山あるようだし、コーディネートが分からない」とおっしゃる方が多いかも知れません。私も当然、初めはそうでした。が、きものもデザイン違いのお洋服と考えて、着るもののローテーションの中に組み込んでしまえば良いのです。ではどのように組み込むか? 今回は、街着、おしゃれ着として着こなす例を載せてみますので、勇気を出して、たとう紙を開けてみてコーディネートの楽しさにはまって下さい。楽しいと思う事が、何よりのアンチエイジングになるのではないでしょうか。

今の50代は、洋服の着こなしの基本がある筈です。ファッション史的に見ればとても良い時代を通過してきたと思います。デザイナーと名乗る人達は本当のデザイナーでした。パリの街や文化に憧れ、パリのモードに刺激を受け、良質な素材で丁寧に造り上げられた良い物を沢山見て自分のおしゃれに工夫しましたよね。まだ洋服にも少しはルールがありました。レースやチュールなどは夏の素材、靴とバッグの色は揃える、G-パン(デニムとは言ってなかった)では改まった場所へは行かない等など。いつの間にかそんな事は誰も気にしなくなって、何でも有りで、かえって面白く無い気がします。きもののコーディネートは、私達が洋服のおしゃれをする時に注意を払った様な事を考えれば良いのです。カラーコーディネートとトータルイメージと季節感、これが大事。全体を同色系の濃淡で抑え、アクセント又は引き締め役に季節感のある差し色。昔のように「藍色のきものに赤い帯、黄色の帯締め」は野暮です。

 

私が心がけているのは、日本的な小粋さと清潔感を表現出来る着こなしです。以下の例は、慶弔両用に必要ということで揃えていただかれた方が多いのではと想像する江戸小紋と色無地、おしゃれ用として大島紬などの紬類のきものをそれぞれ3通りの帯で着こなす私流のコーディネートです。

 

1. 緑がかった茶の毛万筋のコーディネート >>

2. 一ツ紋つきの色無地のコーディネート >>

3. 昔の大島紬のコーディネート >>

 

こんな風に、色数は2色までに抑えます。持ち物は和装売り場のものより、洋服用の中から選んだ方が全体バランスがスッキリします。自分なりの情緒を持ち、着物の妙味を知れば、しきたりばかりを怖がる必要はありません。好奇心や工夫、遊び心が個性やおしゃれを作り上げるのです。それらはまた、人生を楽しくしてくれ、内側から輝きがでてくる筈です。思い切って、箪笥を開けて下さい!!

 

2010.9.21