Lesson 2:盛夏のきものコーディネート
さて今年の夏ほど、きもの生活に適した季節はないのではないでしょうか? まだクーラーなど無かった時代の日本、きものが日常着だった頃、おばあちゃんやお母さんの生活の知恵がきものに凝縮されていました。じとじと夏をいかにさわやかに過ごすか? これから本格的な夏です。節電の影響は想像しきれないくらい多方面に出て来るのでしょう。お仕事にも影響があるでしょう。
取り敢えず私は、先人の知恵を頂きながら、ひんやりとした夏きものでおしゃれを楽しみながらじとじと夏を克服します。きものは背筋と気持ちがピシッ!!!としますしね。気合いをいれればなんとかなる。パリ展も何とかなったし。
その夏きものを着る条件ですが、一にも二にも涼しげにみえないといけません。見た目の涼感がとても大切です。とともに、一年を通して私が気をつけるのは、凛とした清潔感、プラス少しの甘さ。着付けのポイントとしては、
- 衣紋を抜きすぎない
- 半襟は少なめに
- 小物の分量も少なめに
- 着丈はぞろっと長くしないですっきりと
- 色数を抑える
- 寒色系でまとめる
盛夏のきものの素材としては、まず、透ける素材ということです。綿、麻、絹、綿麻、綿絹、芭蕉の糸などで透ける織り方に仕上がっています。
なかでも麻のきものは最高に涼しく、洗濯機で洗えます。襦袢も絽麻。織りは普通、普段着、おしゃれ着と格付けされますが、盛夏ばかりは違います。シャレたきものは先染め織物につきます。
盛夏のきものコーディネート
◇夏大島に八重山上布の九寸名古屋帯
写真では透け感が出ていませんが、蝉の羽のようにうすいです。絽麻の襦袢は汗をかいてもべたつきません。絹物のきものに麻襦袢はいけないという意見も有りますが、まったく問題有りません。
日傘と扇子は必需品。自分で藍染めした日傘です。足袋も麻。麻足袋は弱いけど涼しい。お草履は京の町家で使われていた籐で、台に10センチ位の真綿を入れて作ってもらいました。
夏大島は勿論絹ですが、他の産地の絹きものより涼しい。洗濯機で洗いましたが大丈夫でした。
◇夏大島のバリエーション
半襟はブルーグレーの絽
絽縮緬のさざえの墨絵の九寸名古屋帯
帯留めは京都でみつけたアンモナイトに、銀をあててもらって帯留めに。
◇能登上布のコーディネート
錆色に蚊絣の能登の山崎さんの上布
麻に紅型の帯
日傘は、ほたる染めとかいう手法で藍染め。
◇能登上布のコーディネート その2
合皮の半幅帯にアジアやアフリカのパーツで組んだオリジナル帯締め。
◇小千谷縮みの コーディネート
ラミー糸で織られた一番気軽な夏きもの
白黒のギンガムチェックにレザーの半幅帯
シルバーの金魚の帯留め
秋草の刺繍半襟で甘さを加味
法隆寺で買った聖徳太子の〈夢〉と書かれた扇子
エナメル草履
◇夏きものの一部
右から、
能登上布
夏大島
伝統工芸品マークは手織りの大変貴重な夏大島。
夏きもののほんの一部の例ですが、でれーっとしがちな季節も、背筋を伸ばしてキリリと楽しく生きれる気がしませんか? 道行く人から賛辞が聞こえ、良い出会いも新しい発見もきっと有りますよ。私はきもの文化との運命的な出会いがあってから、日本の伝統を受け継いで行くのが自分の使命と思い込んで、次々に構想がふくらみ、立ち止まっている暇は有りません。
着物は【気物】と教えてくれた人がいます。本当に同感です。作り手の方々の気持ちをしっかり受け止めて、紬大使として5月のパリ展に続き7月8・9・10日は故郷の富山で奄美大島展を開催します。
2011.7.5