瞬時に異次元へ!

早いもので、震災から2年が過ぎた。震災後に急いで買い求めたのがラジオだった。ラジオを持たない私を心配して、すぐに友人が「ぐるぐるラジオ」を送ってくれた。その時は一安心したのだが、やはり非常用なので感度も音も悪く、日常的に使えるラジオが欲しいと思った。

 

たまたま立ち寄った家電量販店の店員さんに、選局がワンタッチでできるラジオを薦められ、以前、周波数がなかなか合わせられずに苛々していたことを思い出し、そのラジオを購入した。今思えば、なぜあんなにも買い急いだのかはわからないが、その日から私の暮らしに、このラジオがなくてはならないものになった。

 

ラジオ SONY

朝はNHKで始まり、ニュースや天気予報を必ず聴いてから出かけるようになった。帰宅後はクラシックアルバムのCDを聴いた後に、9時50分からJ-WAVEを選局する。月曜から金曜は絵本のリーディング。その後、DJタローさんの、ちょっとしゃがれた流暢な英語を聴いて元気を出し、三谷幸喜さんと清水ミチコさんのトークでクスリと笑う。週末、家に居る時は、夕方からラジオを聴きながら、1週間分の夕食の簡単な下準備と、その日の夕食作りをするのが、私にとって今一番のリフレッシュタイム。ゆったりと過ごす休日、流れて来る言葉や音楽に頭やカラダの一部が反応する。「そうか、こう言えばいいんだ!」と言葉づかいや声のトーンなど、トークのプロによる数々の教えが隠れていたりするのだから、大切な時間だ。

しかし、なんと言っても月末の深夜番組の「RADIO SAKAMOTOはラジオならではの楽しみが詰まった最高の番組だと思う。坂本龍一さんが選んだ、視聴者から送られた短い音源が流され、その感想を彼が喋る番組だ。音や音楽そのモノもおもしろいが、彼のプロフェッショナルな解説と、ものすごく私的な感想が面白過ぎて、いつも次の日の仕事を呪いながら、番組の途中でラジオのスイッチを切るのだ。前回も、音が流された後に「いつもはエアコンの取り付け工事をやっています」と、作者のコメントが流され、坂本さんが「うーん、どうゆう感じで作るんだろう?」と一言呟いた。その一言で作者の生活にまで想いを馳せたのは、私だけではないと思う。

 

ラジオは脳の活性に有効だと言われている。料理の途中、IHやレンジの音に紛れながら聴こえるラジオの声に神経を集中させて聴きながら、鍋のスープの味見をしていたり、同時進行で色々やっている時に、きっと脳は活性化しているのではないか、と私は思っている。脳もいいが、私にとっては瞬時に異次元へとチャンネルを切り替えられるのがラジオの最大の魅力だろう。読書の時間が取れない時でも、短時間のリーディングやトークに想像力を働かせたり、流れて来た音楽で過去の自分に想いを馳せる。そんな瞬間的なチャンネルの切り替えが心とカラダのリフレッシュに大いに役立っていると思うのだが、どうだろう?

 

 

 

2013.3.26