鏡よ、鏡、私の歯は?

拡大鏡

数年前に、片面が拡大鏡になっている卓上の鏡を買った。その鏡の隣りに全く同じデザインで小型のものが置いてあったので、なんとなく一緒に購入した。

 

普通の大きさの拡大鏡は、次の日から洗面台の上に置いて毎朝のお化粧をする際に活躍しだした。50代になると、ほとんどの人は老眼(遠視と言いたいがチョット違う)が進み、 お化粧をする時には眼鏡をかけられないので拡大鏡が必要になるのだ。

 

さあ、この小さな拡大鏡はどこでなにに使おうか?

 

まず、寝室のテレビの所に置いた。「テレビを見る暇があるなら、自分の肌をチェックしようよ!」と自分に言い聞かせての作戦だが、どうもうまくいかない。

 

次にダイニングテーブルの上に置いた。「食前に、食後に、お茶を飲むときも、自分の肌をチェックしようよ!」と、これも失敗した。

 

なにしろ小型なので邪魔にならないのは良いのだが、目に入らないのだ。ましてや本当は見たくもない衰えた自分の肌を、わざわざ小さな鏡で目を凝らして見ようとは思わない。 第一いくら見たところで肌が綺麗になるわけではないと気付き、この作戦は終了した。

 

ある日、歯を磨いている時にふと思いつき、例の小さな拡大鏡を左手に持って、覗きながら磨いてみた。これが大正解だった。今までの歯磨きが、如何にいい加減だったかを実感するはめになったのだ。

 

「あら、私はちゃんと鏡を見ながら歯磨きしてるわよ!」っとおっしゃる人がいるかもしれないが、はっきり言いましょう!それは鏡を見ているだけで、歯は見えていません! かりに老眼鏡をかけて鏡を見ながら磨いていたとしても、同じ角度からではいくら見ても1本々々の歯をよく見ることはできないのだ。

 

小さな拡大鏡は左手で簡単に持って、歯ブラシの進む方向へと軽々と動かせる。合わせ鏡にすれば、前歯の内側だって楽に見ることができる。 入れ歯の心配はまだ早いかもしれないが、いつまでも自分の歯で、自分の食べたいものを噛み砕いていけるとしたら、そのための努力は惜しみたくないと思う。

 

これから何十年もお世話になる大切な自分の歯なのだから、メンテナンスにはより一層気を配りたいものです。

 

 

2009.7.29