ころばぬ先の杖(1)

肥満が問題になっている一方で、ファッション界では、マヌカンのやせすぎに頭をかかえはじめた。すばらしい肢体に育った10代の娘たちはモデルを夢見て、洋服を完璧に見せようとするクチュリエ達の志向に沿って、どんどん身体が細長くなって、今や非現実的。ドイツ女性誌No.1、毎月75万冊を出版する「Brigitte」は表紙にファッション・モデル写真を載せない決定をした。2年程前から、時々モデル以外の娘を使って実験しながら世間の反応を伺った上での決定だった(2009年10月)。 太りすぎも痩せすぎも骨にはよろしくない。閉経前後の45歳位から女性ホルモン「エストロゲン」はどんどん減少して、骨粗そう症になりやすくなる。自覚できないから、やっかいなのだが、「骨密度」を測定していない人は早急に対処をお薦めしたい。日本では「骨量測定用機」(IRM検査)を内科、整形外科、産婦人科などの指示のもとで放射線科へ行きつく。

 

骨といえばカルシウム。カルシウムは人の体に骨や歯として約1kg存在するそうだ。1日500mgは摂取せよと「家庭医学」本に書いてあるが、どうやって500mgを計るの? 日本では国民栄養調査で、70%の成人が摂取不足で、唯一不足する栄養素という不名誉な存在らしい。女性は男性に比して3倍も骨粗そう症が多いとよく言われている。筋肉の伸びもコントロールしているカルシウムは、不足すれば歯や骨がもろくなって、相対効果的に動脈硬化、心筋梗塞、高血圧、糖尿病を促進させるというから、こわい。それに、脳の活動を促すのがカルシウムだそうで、ますますおろそかにできない。適度な運動はカルシウムを吸収しやすくする。元気でボケない為にはカルシウムが必要なのだ。私は自分の手遅れになった経験を披露させていただき、「タカをくくっていたら、損するのは自分だよ」とお知らせしたくなった。

 

背中の痛みや50肩の時、フランスではRhumatologe(リューマチ科医)の門をたたく。何故か足が良くツル。肩が痛くて腕を1回転できない。疲れが腰にくる。こんな時には、すぐ骨密度を調べてもらうにかぎるのです。私は痛みの局部治療しか知らず、時は金なりの医者が多いから、友人に助言されるまで骨密度なんて考えたこともなかった。ところが、丈を短くし過ぎて、しまっておいたドレスを試着してみたら、今はぴったりの長さ。ドレスの方のすそ布が伸びるハズがない。息子と鏡の前に立つと「ママ、最近ちょっと小さくなったんじゃない」と何回もいわれていた。「あなたの方が背が伸びたのよ」で終わっていた。イヤ、これは確かに背が縮んだのだ!! ヒャー、びっくり。トシをとると小さくなると聞いてはいたが、いよいよ老女の仲間入りだ。

 

医者嫌いな私は、そのまま放っておいた。突然魔がさしてサプリメント服用でごまかしてきた。いけないとは分っているが、よほどノドが渇かないと水は飲まない習慣がついてしまっている。牛乳も気が向いた時しか飲まない。昨今のフランスでは小魚なんて、鰯以外はめったにお目にかかれない。砂糖が体内でコラーゲンを抑制して、肌の老化を早めると言うのは聞いているが、甘~いケーキが好きで1年中欠かす日がない。3日と空けず何かしらケーキ類を作っている。「自分は結構働き者で年中動き回っているからエネルギー源が必要。いくら甘い物を食べても、特別体重はふえないから」と、気使いなくムシャムシャ。生活習慣はなかなか変えられない。

▲寒波の中でも、毎クラス20人を下らぬ参加者がある。
私は、高年齢層向きの激しくない運動をしているが、インストラクターは、「今この筋肉の体操ですよ、お腹をひっこめて、尿管を絞りこんで」と、いちいち言ってくれるので、なかなか心身に良い。

 

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2010.2.8