カルラ・ブルーニ・サルコジイ

フランス大統領夫人カルラ・ブルーニは、なかなか人気がある。サルコジイが前夫人とかなりのいざこざの後、離婚して3ケ月そこそこで、カルラの5歳の子供を肩車してディズニー・ランドに遊びに来た。このマスコミ向けデモンストレーション時点で、もう結婚の約束が出来ていたのだ。

 

彼女がトップ・モデルから歌手に転向して、シンガー・ソング・ライターとして将来を期待されるまでに成功していたのは、日本でも知られているかもしれない。 ギターを爪弾きながら、意味ありげな歌詞を何気なく歌って、特異な雰囲気をかもし出していた。


彼女は現政権よりは社会党寄りと思われて、そのやわらかな微笑はインテリ層に人気があった。にもかかわらず、サルコジイと2008年2月に電撃結婚をして話題をさらった。イタリア富豪のお嬢様だった彼女は結婚によってフランス国籍も取得した。大統領自身もハンガリーのアリストクラシー移民の2世である。大統領は54歳で3回目、カルラは42歳で2回目の結婚だが、フランスは個人の生活環境に干渉しないスマートな習慣があるから、離婚や結婚問題はあるがままを受け入れる。

 

さて、この新大統領夫人カルラは、実に上手にエリーゼ宮に暮らすにふさわしい女性として、自分を演出するのに成功した。急がずゆったりとファースト・レデイー兼歌手であるとしてレコードをリリース。 題名は「何もなかったように」というからしゃれている。


実際TV録画は以前と同じようにスラックスにシャツブラウスというシンプルなスタイルで、好感度を獲得した。とかく他に抜きに出ようと攻撃的早口でしゃべるラテン民族社会にはめずらしい、その落ち着いた、しかもインテリジェンスを感じさせる物言いは、実際うらやましい。静かだから、かえって傾聴する。生まれ持った美点なのだろう。

 

大統領夫人の職務として外交使節を迎え、旅行をこなし、エイズ撲滅運動の大使として、毎日のようにニュースに映像が流れる。元トップ・モデルは何時も美しく、完璧に「絵」になる。

しかも最近では、彼女が祖先からたいへんな財産を受け継いで、大統領よりもずっと資産家であるのが知られるようになった。不況にあえぐフランスで、彼女の笑みが大統領の人気を支えているようだ。

 

カルラ・ブルーニは謙虚さと強い意志を体現している。外野から見物している 私は「実にすばらしい女(ひと)と出会ったものだ」と直截で忙しそうなサルコジイの伴侶を愛でている。

 

2009.5.28