女っぽくなる髪ケア
初めて世にヘアー・カラー商品を問うて、今年100周年を迎えたロレアル社。そのひとつ、パリ北郊外にある超モダンビルのロレアル毛髪研究所では、アジア、ラテン・アメリカ、アラブ、アフリカやヨーロッパ系等、民族の髪質に応じたシャンプーや染料等あらゆる頭髪ケア商品の実験研究が行われている。発売前の新商品テストの実験台は在仏各国人が常時募集されている。「パーマネントをかけたい」、「染めたい」等と担当者に伝えておけば、新規開発された商品液の実験にお声がかかる。研究しつくされた商品見本の最終テストである。実験台になる方は、結果として無料、ノー・リスクで、パーマネントをかけたり、毛染めがしてもらえるgive and takeシステムなのだ。
今年の冬は髪ケアに力をいれてみましょう!!
“Black is beautiful”の60年代のアメリカで起きた運動は、アフリカ系アメリカ人の権利を主張して、それまで底辺にあった人々の意識を変えた。白人のマネをして、髪を無理に真っ直ぐにしないで、自然な“アフロ”スタイルが市民権を得て、世界中に流行した。ベトナム戦争中は“Peace and Love” “Flower Power”のヒッピー達がロング・ヘアーで自然に還る訴えをした。その後、ロックやレゲエ音楽、パンク・スタイルが薬物と一緒に若者世界を席巻した。
ココ何年か、フランスだけでなく、ヨーロッパでは、成人男性の間で頭を坊主に丸めるのが流行している。若ハゲや老境に近づいて薄くなった髪をなでつけているより、剃るか、刈り込んだ方が毎朝簡単だし、モダンなのだ!! この丸坊主頭の起源は日本やチベットの僧侶ではあるまいか? それにしても、西洋人の頭の型はカッコいい!!
写真上:フランスでは柔道家というのだが、オリンピック金メダルのテデイ・リネールは、地肌に毎回違った模様に刈りこみを入れて、趣味のおしゃれにはまっているようだが、11月に自閉症遺伝子を持って生まれて来た子供達を助ける会の名誉会長に就任した。グアダループ出身204cm。
写真下:ニコラ・カンテルー政治家の物まねでスターになった。せりふに皮肉やエスプリがあり、うけている。てかてかに光る頭。
女性側は、働く女性の多い都会では多分7年程前までは、手入れがし易い短い髪が大半だったが、今は肩から胸のあたりまで伸ばし、カールさせたり、シニョンに結い上げて、大体日本女性と同じようだ。長くツヤのある髪はセクシー、これぞ仏女性がめざすもの。
写真上:サルコジ内閣で環境大臣を勤めた、才媛、 超美人ナタリー・C・K(現39歳)のシニョンはすてき。
写真下:実弟は彼が開発したロジシエルを日本人に売却。楽天である。スゴい姉弟だ!!34歳で大臣に抜擢されたNSKは、私が一番注目する女性だ。
ヒッピー年代もトシを取る。残念なことには、一般に50代に入ると髪にツヤがなくなり、抜け毛も増える。若い頃から日本人よりもずっと頻度が高く髪を染めているフランス女性も、その対策として、たいてい髪を短く切ろうかなと決心を迫られる年代である。
ソニア・リキエルが2009年春夏コレクションで、彼女のトレードマークである髪と同じ赤褐色のちじれ毛の模造上着を発表した時は、色々考えるものだと感心した。
マーク・ジャコブは ルイ・ヴィトンの2010年春夏コレクションで、様々な色のアフロスタイルかつらを用いた。
ゴルチエは2012年秋冬コレクションで、スキンヘッドモデルに流行の入れ墨風に頭皮に絵を描いた。このモデルさんは10年前、思い切ったスキンヘアで売れっ子だった同じ人。
最近ふと気がつくと、あちこちのショッピング・センターに頭髪ケア品だけを扱う小さいながらも専門ブティックが現れはじめたことだ。髪の健康を保つ簡単便利な方法をフランスの雑誌等で、かなり長い間チェックしているのだが、日本にある情報以上にはみつからなかった。
左:頭髪用品専門店
- 髪の健康は、シャンプーの前に髪用オイルやクリームを使ってマッサージをする。栄養が行き渡り、ツヤが出る。(知っているけど、なかなか実行できない)
- 染める場合、毛根部分に濃い色、毛先にそって、色が薄く明るくなる。髪色にニュアンスができる。2、3回このやり方で毛染めを繰り返すと、染めが長持ちする様になる。(l'oréal社、新商品 les ombrés, Préférence、12€メッシュ染めの要領で使う。)
- 少し出て来た白髪を隠すのにイタリア人はエクスプレッソ一杯分を、頭髪にまんべんなくかけて、5分後に洗い流す。(コーヒーの酸味は、水のアルカリ分の強いヨーロッパに敵した処方だし血行を促す作用がある。)
- 髪のエナメルがけは、白髪が出て来たとき等、自然なメッシュのような効果を出す。(Shade EQ Redken Gloss 35€~ 米国製新商品/SHADES EQ)
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頭皮の指圧(25分で55€、55分で100 €、安くないから、自分でする様に心がければ良い)
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適度な運動は血行の循環をうながして、頭髪のためにもなる。(ウォーキングがいちばん!!)
加齢と供にホルモン分泌の低下で髪のキューティクル、即ちタンパク質が減少する。日本人にはこれを補う植物性タンパク質源の大豆とその加工食品が強い味方をしてくれる。豆腐やみそに馴染みがないフランスでは、その分を週に1度くらいデトックスせよと薦めている。(簡単に言えば、週1日ベジタリアン食と水分摂取で、身体の毒素=脂肪分を吐き出させる)
ELLE、Madame、その他の婦人雑誌では、年何回も“美容”特集を組んで、新商品が紹介されるが、近くのセフォラ店で商品パッケージを見るだけの楽しみに終わっている。
これからX'mas、正月までは、眺めるだけでも楽しい“香水”の宣伝合戦がはじまる。仏政府は、経済立て直し、企業の海外移住に歯止めをかけようと“Maide in France”商品の購買を国民によびかけている。
皆様、よいお年をお迎えください。
2012.12.14