秋と体脂肪とボデイ・シェイピング

ストで高速道路が飛行場近くで閉められて、バスを降ろされてスーツケースと共に道を急ぐ人々
ストで高速道路が飛行場近くで閉められて、バスを降ろされてスーツケースと共に道を急ぐ人々

この秋フランスは例年にましてスト騒ぎが多い。今回は「年金法改訂反対」の全国規模スト。軍隊や運転手など命に関わる機敏な行動が必要な職種別決まりの他に、簡単に言うと年金授与年齢を現行60歳から62歳に引き上げるというのに反対している。長く働いているのが余程嫌いな国民らしい。組合が強いからすぐストになる。もし、日本のようにゼロ金利などと発表したら、国全体がヒステリー状態になるだろうな!!

 

ところで実りの秋。パリでもモンマルトルで77年間続いている『ぶどう収穫祭』が10月6日から5日間あった。今年は期間中50万人が訪れて、1,003本のボトルをあけたそうだ。ぶどう園はパリ市内に5カ所、微々たる量だがパリ近郊だけで132カ所に畑があって、ワインを生産している。11月18日のボージョレ・ヌーボーは、今年は中国からの注文がトップだった。ギリシャに足場を作った中国の絡め手侵略に、ヨーロッパもじわじわと警戒心を抱き始めている。人と金のある国には、世界中が不安で卑怯な沈黙を守っている。お金がなくなりつつある日本には、誰も味方についてくれない。

 

パリ ファッション・ウイーク
パリ ファッション・ウイーク

さて、アンチエイジに話を戻す。秋は「ファッション・ウイーク」で幕があく。メトロのルーブル駅周辺で、棒のようにホッソリとナガーイ長い脚の若い娘が多く乗り降りするようになると、シーズン始まりだなと思わされる。モデルがクチュリエの試着のため移動中なのだ。そんな娘達を見かけて、50代女はちょっぴり緊張して、「私もちょっと、おしゃれをしなければ!」という気持ちになる。失われた肌のハリを思いだしながら「若い時はそれなりに振り返ってくれる人だっていたんだから」と、おざなりになりがちなファッション感覚をふるいたたせる。だから積極的に出歩くだけで刺激を受け、結構アンチエイジングを助けている。フランスというより、西洋婦人の悩みは加齢と共にくる肥満だ。食習慣で40歳を過ぎると男女共にほとんどの人が、身体の厚みを増してくる。日本人の加齢は「しぼむ」とか「枯れる」と表現できるだろうが、ことフランス人の外観に関する限りは、肥満体とは違うのだが、ますます身体が分厚くどっしりとして、一回り大きくなったようで、存在感を誇示するがごとし。胸も腰もぶつかったらゴツンと跳ね返されそうだが、実は脂肪質だから、ゴムまりのようにやわらかに弾力がある。 

 

その分だけ減量に神経をつかっている。友人のカロリーヌは朝から口に入れるもの総てをカロリー計算して、よく「今夜はもう食べない。本日分カロリーは摂取済みになっちゃった。」と夏の間中言って、彼女の夫ミッシェルには「あなた、今夜サラダで我慢してね。」と巻き添えにして悩ませていた。おかげで1ヶ月後には彼のお腹も幾分引っ込んできた。彼女自身のこの試みも1年後にはすっかりちがう方法になって、昼・夜何種類かのチーズだけが続く。またある時は口寂しい時に空腹を満たす英国製のゼロ・カロリー粉末を水に溶かして飲む。病院でお腹の脂肪を抽出してもらった事もある。涙ぐましいが、太いなりの均整がとれているのだから「太ってなんかいないよ」と私は言いつのる。

 

「私なんて、肩から胸の肉がどんどん下降して、見映えが悪くなる一方よ」と、だんだん貧相になるアジア人体形を嘆く。ところがフランスの女達は一様に『アジア人はシワも少ないし、太らないし、うらやましい!!』と言うのをよく聞く。

 

お互い無いものねだりなのだ。!!

 

2010.11.15