フランク・ゲリーの設計、パリの新名所!ルイ・ヴィトン財団の美術館

11,700㎡のガラスとイノックス接合工事はアクロバットのような作業で完成された
11,700㎡のガラスとイノックス接合工事はアクロバットのような作業で完成された

パリ市の西側にある市民の憩いの森ブローニュに、大型船をイメージしたような現代美術館が6年の歳月をかけて2014年10月24日おひろめをした。 森の天空に出現した11,700㎡の雲のような、あるいはガレー船の帆のようなデザインは、スペインのビルバオ市にある、グッゲンハイム美術館設計でゆるぎない名声を得たフランク・ゲリーがルイ・ヴィトン財団の依頼によって、ガラスとイノックスを使った新デザインで世間にショックをあたえる建築挑戦に成功した。

金に糸目をつけないとは、この外様を一目みれば納得する。発注主のルイ・ヴィトン社長ベルナール・アルノー氏(65才)は、最後までフランク・ゲリー(85才)に設計の自由を与え尊重したと伝えられている。思い切りの良さに脱帽する思いだ。自宅のサロンで静かにピアノを弾きながら美術館内に運び込む彼のコレクションの配置を夢見ている等、やはり素晴らしく素敵な人生だ。

(左)ベルナール・アルノー(右)フランク・ゲリー
(左)ベルナール・アルノー(右)フランク・ゲリー
ルイ・ヴィトン財団の美術館
ルイ・ヴィトン財団の美術館

一時期日本滞在の外国人は、「視覚芸術日本文化庁は”デパート”が肩がわりしている」などと陰口をたたいていたが、文化に手厚い保護政策が伝統的なフランスでも、古城や教会寺院遺産の修復で手一杯、大資本が近代芸術文化メセナに積極的に取り組むようになっている。

ポップ・アートのカルチエ美術館(1994年 建築Jean Nouvel)、フランソワ・ピノーがベニスのGrassi宮殿(安藤忠雄による改修工事)に現代アート美術館(2006年)、ギャラリー・ラファイエット財団は2016年開館でマレー地区に建設中、Pathé de Jerôme Seydoux財団は7年の建築期間をかけて、1869年に建てられ、劇場だった建物(ゴブラン通り)を9月10日Renzo Pianoによる5階建てガラスと木の「映画資料館」に衣替えさせた。

ジェローム・セイドウ パテ財団の映画の殿堂、建物正面のロダンの彫刻は現存された。
ジェローム・セイドウ パテ財団の映画の殿堂、建物正面のロダンの彫刻は現存された。
ガラスチューブの内面
ガラスチューブの内面

ギャラリー・ラファイエット財団美術館の模型
ギャラリー・ラファイエット財団美術館の模型

また、フランスの天才数学者と評判されて、襟に10cm大の昆虫ブローチをつけた背広にYシャツ、常に特別仕立てのスカーフ風を大きなリボン状に結んだネクタイ姿で、よくマスコミに登場して視聴者を煙にまくロングヘアーのCédric Villani(41才)は、2018年をメドに「数学館」作りのための寄付を募集中と発表している。彼によれば、数学のロマンとポエジーを市民に知ってもらいたいのだそうだ。

グローバリゼーションによって、世界に進出しなければ倒れてしまう資本投下現象は、大資本に成長した企業の足かせになる高額納税義務をメセナによって軽減できる政府の財政方針も計算のうちなのは、いうまでもない。「損をしてトクを取る」ということわざもありましたね!

パリが誇るユニークな新名所として、ヴィトン財団の今にも船出の錨を解いて動きだしそうな建物は「スゴイ」の一言。


2014.12.2