フランス化粧品の新しい波

この10年くらい、化粧品業界で盛んにいわれているヌーベル・コスメティックとは、いわゆるBIO化粧品のことで、茶葉、もやし、ザクロ、草花、アルガン油、オリーブ油、なつめヤシ、アフリカの植物原料、朝鮮人参等の植物からバイオテクノロジーを駆使して抽出したエキスを化粧品として商品化すること。消費者が化学品の成分を含まないものを求めるようになっていて、容器も再生可能材料をめざしている。

簡素なパッケージなら、商品一括搬入の重量運賃も軽減される。ひと昔前、やし油を摂るために、森林を伐採して、何ヘクタールも、やしの木だけを植えたりしたが、モノカルチャーの弊害がはなはだしいのに今になって皆が気がついている。

フランスの化粧品産業は、パリから西へ1時間程のシャルトルを中心とした150km圏内に800社がスキンケア、ヘアケア、メイクアップ分野でしのぎを削っている。土地が平坦で、飛行場やルアーブル港等の輸送インフラがととのっていて、俗にコスメティックバレーとよばれて、コスメ分野の研究者養成は国策である。フランスでこの業界トップはロレアル社。資生堂も1992年に香水工場をオルレアン近くのジアン市(陶器が有名)に作った。

この植物BIO化粧品で現在市場に出まわっていて、協会で認可を受けている主なものは、以下のとおり。(認可規定は95%の自然原料、10% BIO)

(コスメBIO分会では、更にきびしい基準で再生可能原料にこだわった審査をおこなっている) ・Dior (Prestige) クリーム(50ml 333,50€、つめ替え50ml 283€)

・l'Occitane リップ・クリーム(tout doux Karité)(20g3€)

・クラランス リップ・クリーム(15€)

・ランコム 化粧水(énergie de Vie)(50ml 39 €)

・コーダリイ クリーム(sorbet vinosource)(27,70€)

・Klorane  シャンプー(dattier du désert)(200ml  6,84€)

※(1€=125円 / 2016年 6月平均換算率)


また、昨年までは“**オイル”が、市場を席巻していて、モロッコ原産のアルガン木の果実から摂るアルガン・オイルは人気でした。今年になって目新しいのは、容器の中に真珠のような2mmくらいの球がつまった美容液。この球体は容器中の成分を一定に保つように、ハイテクで開発されたもので、容器のボタンを一押しするたびに、ミクロ粘膜が働く。(シャネル、ラ・プレリ、ゲラン、エリザベス・アーデン、カリタ、ニベア等がある)

コスメテイック・バレーの会長を勤めるゲラン社では、2012年から発売している蜂蜜から摂るロワイヤル・ジェリーのエキス・クリームや、球体入美容液広告をこのところほとんどすべてのモード関係女性誌で大展開している。蜜蜂は年々減少しているけれど、人類の努力次第では、花から花へ飛ぶ姿が復活するかもしれない。自然が再生している “あかし” なのだから。

さあ、私達も “しぼんでしまう” 心配はお預けにして、運動をしたり、歩いたり、化粧品に気をつかったりして、少しでもはつらつとした美肌を心がけましょう。


写真はアンチ・エイジングをめざすおすすめ新商品

・ニベア Q10 クリーム Q10+球体入

・ゲラン 美容液:球体入り 40ml 植物原料からの血しょう剤、皮膚をいやす効能

 ロワイアル・ジェリー+球体入 シワ矯正30ml

・イアルゲン(sérum Lift eclat 40ml):フィガロ・マダムから広告転載 

(パール状球体は1粒ずつに白百合から抽出されて皮膚の明るさと若さを保持する酸化物質がつめられているとの説明)

 

2016.6.3