ヨーロッパではクーガー女性が急増中!義理の母も年上婚です。

Lennie Riefenstahl
Lennie Riefenstahl

2003年。

102歳の時にしずかに最愛の夫に最後をみとられて、黄泉の河を渡ったドイツの有名な舞踊家、女優、映画監督、写真家のレニ•リューフェンスタール(Lennie Riefenstahl)。パートナーであり後に夫となるホルスト( Hors Kettnert)はレニが66歳の時に知り合った。そしてその時、彼はたった26歳。

40歳もの年の差を乗り越えて、ホルストは愛妻レニの最期までをともに過ごした良き伴侶、レニの女冥利につきる人生を助けてくれた素晴らしきパートナー。

Horst Kettner
Horst Kettner

この2・3年ヨーロッパの雑誌で話題になっていた「クーガー現象」。

そのクーガーとは、30代後半からそれ以上の年の女性で年下の男性とおつきあいをしている人の事をさす。クーガーはネコ科の肉食動物、しなやかで美しく、そして夜になると獲物を求めてハンティングをするという。

Demi Moore
Demi Moore

このクーガーの愛称はアメリカのTVドラマ、「クーガー•タウン」から。

http://www.youtube.com/watch?v=PcbSUvT51I8&feature=kp

40代のシングルマザーと年下の男性達との遍歴を描いたラブ•コメディー。

そしてこのクーガー女と称されて雑誌でも話題に登ったのは、女優ではデミー・ムーア。彼女は24才年下の恋人の後、19才年下の恋人が出来たようだ。フランスでは知的な美しさで誰をも魅了するニュースキャスターのクレール・シャザル。彼女は55才で19歳年下のモデル兼俳優と暮らしている。歌手のマドンナ57歳には29才年下の恋人がいるし、と芸能界の美しい熟女たちは年下の男性とおつきあいをする事にこだわらない。

日本の男性は一般的に「可愛い、そして若いピチピチの女性」をいくつになっても追い求めているようだが、ヨーロッパの男性はあまり相手の年齢を気にしない。

そのかわりに、その女性の美しさや知的なところ、社交性、セクシー度などで熟年の女性を評価しているようだ。だから日本のように「可愛い」という言葉を成人の女性に向けてかける事はない。逆にその言葉「可愛い」とはイコール「子供っぽい」と理解され、ある程度の年齢の欧米の女性に対して「成熟度が少ない人」という意味で大変「失礼」にあたる言葉だ。

最近はよく見ると有名人だけではなくて、私の周りにいる普通の女性のクーガーが多い事。そして、私の周りのクーガー達は若いパートナーを「狩りする女」ではなく「若いパートナーと安定した生活を続けている年上の普通の女」。

メディアでは熟年の女優が年下のパートナーを見つけて「やっぱり破局!」とスキャンダルを流すのを楽しみにしている傾向があると思う。でも熟年の男性がすごく年のはなれた若い女性とつきあっている事に対してはいたって肝要。どうして熟女が年下の男性とおつきあいをするとすぐに叩かれなくてはならないのだろうか?

そしてお相手の年下の男性はまるで「ヒモ」扱い。年上の女性に惹かれる男性は経済的にも精神的にも弱い「マザコン」だとレッテルをつけられている傾向があると思う。これは日本だけではなく欧米でも未だに同じ傾向があるようだ。

マルティンは60才、テレビ局の編集をしていて今年になって定年退職をしたばかり。栗色の髪で青い目、知的でとても魅力的な女性。彼女は8年前から7才年下のディレクターと暮らしている。離婚歴があり、28才の娘がいる。仕事も家事も恋愛も上手にこなしている人。

そんな彼女も一番の親友カタリーンからは「狩りをするクーガー」扱いにされている。

カタリーンはすごく保守的な人で、彼女の夫となかなか離婚に踏み切れなかったカトリックの信仰深い女性。そしてカタリーンにとって親友のマルティンとその年下のパートナーのカップルはどうしても倫理的に認められないようだ。だから未だに欧米でもクーガーの女性の立場はなかなか社会的に難しいところがあるようだ。

でも現実的にクーガー女性が増えた事は事実。

その背景には、やはり女性の社会進出が増えた事。そして女性の知的水準の向上があり、それに伴い経済的および精神的に自立した女性が増えた事。そして彼女達は結婚をしてみて、または結婚をしようと試みて、それに対して大きな価値観を見いだせなかった女性が多い事。

それというのも、同年代や自分よりも年上の男性の「生活への考え方」に愛想をつかした人が多いようだ。それに比べて若い世代の男性達は女性の社会進出に対して比較的肝要なところがある。そして若い世代の男性は家事の分担も抵抗なくしてくれる人が多い。

もう一つ、クーガーになる熟女の大きな理由の一つは、今の40代以上の女性たちは自分を磨き、若さを保っているセクシーな人が多い事。

私の義理の母の名前は「レニ」ではなくて「レネ」。1916年生まれの義母の若いころは第二次世界大戦のまっただ中。男は戦争で取られて、国に残ったのは未婚または未亡人の女性達ばかり。既婚年齢に達している男性の数は圧倒的に少なかった。

義母は31歳のときに結婚、相手は10歳年下の21歳の男性だった。そして41歳という当時でも珍しい年齢で長男を出産し、結婚55周年目の、86才で夫に看取られて静かに亡くなった。

義母はいつも自分の服装に気をつかい、彼女にとっては家庭よりもなによりも夫が世界の中心だった。そして彼女の口から一度も「もう年だから」とか「疲れた」という言葉を私は聞いた事がなかった。いつまでも若く、魅力的になれるように年下の夫のために義母は亡くなる最後まで気を張っていたのではないだろうか。そして、また、10歳年上の女房ということで世間の偏見もずいぶん沢山あったのではないだろうか?

義母レネの人生はレニ•リューフェンスタールのような輝かしい人生ではなかったかもしれない、でも彼女もまた愛する年下の夫と半世紀以上を共にすごし、そして最期を静かに看取ってもらえた。

やっぱり義母も素敵なクーガーだったのではないだろうか?

 

 

2014.7.18