「エセ菜食主義!」

私は、肉も魚も大いに食べる。菜食主義者なんかではまったくないけれど、菜食を正しくやっている人たちが、そうではない人たちよりも健康で若々しく見えるという事実は認めざるをえない。西洋社会での菜食者の割合は、日本とは比較にならないほど多い。きっとこれまでに肉を食べ過ぎてきたことへの罪悪感が、遺伝子に組み込まれているからに違いない。

 

私はといえば、菜食主義者にはどうしてもなれず、ときには牛や豚ちゃんたちにごめんなさい、でもあんたは美味しいんだよと詫びながら、多少控えめだが食べさせていただいている。こんな私でも最低、オーガニック食品をとる、玄米を食べる、野菜を菜食者以上に食するというのは何十年と実行している。おかげでそんじょそこらの菜食者なんかには負けないくらい健康だし、若々しいと勝手に自負している。

 

なぜか昔から菜食コンプレックスがあって、ロンドンにいるころから菜食者にこびるように、和式というか私式菜食レストランを経営していた。店が終われば隠れるようにステーキハウスに駆け込んでいたのに、客やスタッフには菜食を強要し「私はもう35よ。でも菜食をやっているおかげでとてもそうはみえないでしょ」などと嘘をつきとおしていたのだから恐ろしい。実際は、25歳だった。

 

クライストチャーチでは6年間オーガニックレストランを経営していた。菜食メニューの豊富さと、魚肉も使った料理全体のユニークさ、旨さ、良心的な値段にかけては、世界中のどんなレストランにも負けないという自負はあった。日本料理店の許せないところは、野菜料理がほとんどないということ。そりゃあ野菜は手間がかかるし、儲けが少ないからやりたくない気持ちはわかるけれど、でもここが単なる商売人やグルメ料理人と、料理革命家の私との違いなのヨ。いいんだもんね、そんなに儲からなくたって、損はしなかったから。

 

健康で、若々しくいられる第一の条件。とくに環境汚染された現代においては、肉よりも野菜をたっぷり食べることだと考える。それから納豆。なんと私の納豆メニューを取り憑かれたように食べまくっ ていたのは、大方が白人の菜食主義者だった。彼らは毎日のように通いつづけた、肉食者に比べ菜食者のほうが圧倒的に和の繊細な味付けを理解しているという、これがまさに証明だ。

 

ここで最も人気のあった納豆メニューを紹介しよう。

 

□■アボガド納豆仕立て■□

1.沢庵と梅干を細かくきざんで混ぜ、あらかじめたっぷり作って冷蔵庫で保存しておく。

2.しょうゆとみりんを煮詰めて照り焼きソースを作っておく。またはしょうゆとオーガニック系の甘味料を混ぜたものでもよい。

3.熟れすぎていないアボカドをスプーンですくい出し、大きめに切る。

4.納豆をよくこねた中に1から3をぜんぶ混ぜる。それぞれの割合は各自で調節する。 しょっぱくなり過ぎないように、そしてアボカドがつぶれすぎないように気をつける。

 

*すべての材料をなるべくオーガニックのものにすればなおさらよい。菜食でない人にはこれに鮭の刺身を加えていた。マグロや他の刺身でもい。刺身は必ず5分間ほど照り焼きソースに漬けておくこと(刺身入りのほうがもっと旨いと、実は思う。酒のつまみに最高なんス!)

2009.0312