「君知るや、キノアの味を」

食べ歩きの本にオーガニックレストランとして紹介されていたから行った店は、 材料のひとつだけがオーガニックというのだから、書いた人間がいいかげんなのか店が嘘をついたのか、 95%オーガニック材料で営業していた正直者の私としては少々あきれたのは当然。

 

『Q Eleven 』という名前の店でサウスメルボルン・マーケットの反対側にある。しかもマーケットの中のオーガニック店のまん前にあるもんだから、よけいにオーガニックレストランの印象をちょうだいしちゃうわけよ。まあ、商売というのはこういう作戦も必要なんすかね。

 

キノアという雑穀がこちらのオーガニック愛好者では人気がある。たんぱく質の含有率が高く栄養価も非常にすぐれている。プチプチとした舌触りが私は好きで、玄米を炊くときには必ず組み合わせる。『Q Eleven』の唯一オーガニックメニューがこのキノアだったのでそれをたのんでみた。

 

キノアのサラダに焼きイカがのっていて、組み合わせとしては非常によかった。しかしイカはしょっぱすぎるし、キノアのドレッシングも酸味がきつすぎて、全体に繊細さが欠けていた。

 

褒めるところは褒めたけど、せっかくの唯一オーガニックメニューなのだから、もう少し気合を入れてほしいと思い、出るときについそう言ってしまった。おいしいにしろまずいにしろ感想を述べずにはいられないのが私のクセで、いっしょに行った日本人に恥ずかしいからやめてくれないかと注意されることもある。

 

でも自分が店をやっている時だって、客の意見はやはり聞きたかったもんね。一般に何の感想も言わないのが日本人で、そういう点がこちらでは最も嫌われる日本人の態度なのよ。とくにおいしかったときは、そう表現しようよ。それが料理を提供してくれたものへの礼儀というもんでしょ。たとえ夫婦の間でもね。

 

『Q Eleven』からアイディアをいただき、翌日私はさっそく、キノアサラダとマッシュルームステーキというセクシーな朝食をこしらえ、ひとり満喫した。

 

□■キノアサラダ、マッシュルームステーキ添え■□

<キノアサラダ>

材料:1、キノア 2、赤ピーマン 3、赤玉ねぎ 4、インゲン(軽くゆでる) 5、松の実 6、ミントの葉

 

ドレッシング:1、オリーブ油 2、ライムまたはレモン 3、ヨーグルト 4、梅酢(少々)5、塩コショウ

 

<作り方>

①キノアは白米の炊き方といっしょ。2から4を小さめに切る。ミントは千切りにし、一部は飾りに残しておく。炊いたキノアが冷めたら材料をすべて混ぜる。

②ドレッシングのそれぞれの分量は好みで入れる。ヨーグルトは多めに入れると形が作りやすい。

③①と②を混ぜ合わせる。

 

<マッシュルームステーキ>

材料:小さなマッシュルームでも、他のきのこでもかまわない。

オリーブ油を垂らしてグリルかフライパンで焼く。味付けは塩コショウ、途中でニンニクのみじん切りを加える。(バターを加えると風味がでる)

 

<豆腐炒り卵>

材料:1、豆腐3分の1丁 2、卵1個 3、オイスターソース 4、ナンプラー 5、オリーブ油

油でまず卵を炒り、そこへつぶした豆腐を加える。仕上げにオイスターソースと、ナンプラーを少々加える。皿の周りにオイスターソースを飾るので、味付けは薄め。

 

*キノアサラダは2、3日ほどの作りおきは可能なので、他にいろいろ組み合わせるとよい。

2009.0514