「巻き物大流行」
人はなぜか巻き物が好きなようだ。中身はたいしたことがないのに、包んでしまえばたいがいおいしくなる。 餃子だってもともとは貧しさからきた発想ではないのか? あまった惣菜を捨てるのも惜しいから小麦粉で皮を作って包んでみたら、あらまあ!というくらい旨くなった。 春巻、サモサ、のり巻き、ちまき、韓国のなんとかという、肉やキムチをレタスで包んで食べる料理‥‥
メルボルンでもっとも流行っているテイクアウト(こちらではテイクアウェイという)の食べ物がなにかといったら、ハンバーグやサンドイッチに次いで、のり巻きだといえる。それをまねたように薄い食パンで、さまざまな中身をのり巻きのように巻いたものもよくみかける。
私の朝食もたいがい巻き物サンドイッチである。レバニーズブレッドと呼ばれる薄くて直径20センチぐらいのパンにサラダと自家製コンビーフやスモークサーモンなどを巻いて食べる。 味付けはオリーブ油とレモン、梅酢、そこに生の赤唐辛子を刻んで混ぜる。この唐辛子で一気に目が覚め、一日の活力がみなぎるのだ。
エルウッドという白人中心の高級住宅街にはカフェが軒を並べ朝からにぎわっているが、ここにワイルドと呼ばれるオーガニックカフェがある。マレーシア語でロティという少々油っぽい、だが癖になるほど旨い薄焼きパンに包んだ、巻き物カレーパンのようなものを食べてみた。これが実によかった。中身が菜食だとは後になって知ったほどで、肉料理に負けないほど濃厚な味付けだった。主にジャガイモとレンティルが使われ、驚くほど辛い。経営者は白人であるにもかかわらず白人たちの幼稚な味覚に妥協しないこの辛さに、私はえらく感動した。
さて翌日さっそくロティを手に入れ、私なりの巻き物カレーパンを作ってみた。
□■ロティのカレー風味巻き■□
材料:ロティ1枚・オーガニックソーセージ1本・ジャガイモ1個・卵1個・人参半本・ほうれん草や小松菜など緑の野菜4分の1束・レタス・季節の果物
調味料:カレー粉(またはタイのカレーペースト)・塩・クミンシード・にんにく・生姜・レモン・オリーブ油・梅酢
<作り方>
①ソーセージは薄く切って炒めるか、まるごと蒸してから適当に切る。
②人参を蒸して縦に棒状に切る。青野菜はさっとゆがいて水で洗ってから絞り、縦3センチほどの長さに切る。
③にんにくと生姜のみじん切り、クミンシードを軽く炒めてから、太目の千切りにしたジャガイモを加え、さらに炒める。火が通ったらカレー粉またはカレーペースト、塩でしっかり味付ける。
④卵1個を薄焼きにする。(これはなくてもよい)塩は少々。
⑤ロティは手に入らないだろうから,全粒粉と水でチャパティを作るのもよいし、ピタブレッドでもよい。要は薄いパンであること。それをグリルで焼くか、フライパンで軽くあぶる。
⑥すべての材料をパンに包みレモンをかけて巻く。
⑦レタスを敷き、オリーブ油と梅酢を少々かけ、果物を添えていただく。
2009.0626