ヒステリーと子宮の関係

友人達が集まってのディナーのひと時。楽しい会話が続いている。ところが急にオデットは立ち上がって、一体何が気に入らなかったのかアグレッシブに自分の主張を始める。オデットは40代後半になってからこの兆候が出始めた。些細な事でもすぐムキになる。ヒステリーが止まらない。時には彼女の反応があまりに激しくて、逆に皆から笑いを誘うほどだ。

 

オデットにひどい更年期障害があるという事を知らない人は彼女の言動に唖然とし、彼女を良く知る友人達はまたいつものオデットの症状だという顔をする。オデットのこの症状を我が家ではオデット症候群と名付けている。そして、私は娘に「いつか私にもオデット症候群が現れたら知らせてね」と頼んである。

50歳を過ぎるとオデットは日増しにイライラがひどくなり、夜は眠れない。眠ったと思ったらすごい寝汗でパジャマ代わりのTシャツがびっしょり濡れるほどの汗が出るようになった。 医者に相談したら更年期障害という事でホルモンを服用するようになった。

いろいろな検査をした後にエストロゲン入りの皮膚に塗る薬を処方され、寝汗はずいぶん減り、良く眠るようになった。が、その代わりに急に太り始め頭痛が始まった。 痩せるために運動をし、食事療法も続けるが、少し痩せたと思うとまたすぐにリバウンドして太る。 加齢で張りが減って来た肌はいくたびかの体重の増減のせいで、日増しに皺が増える。

 

ある日、友人が子宮に入れるホルモン剤を服用しているという話を聞き、オデットもその薬に切り替えた。しばらくすると体重が一定するようになった。髪に艶が出るようになった。乾燥していた子宮も潤い始めた。体重維持の為の食事制限も減った。オデットの体が安定してきたせいか、彼女のヒステリーも収まり始めた。そして友人の私から見たひいき目でも、彼女はなんだか少し若くなったような気がする。

 

ヒステリーの語源はHYSTER。これは「子宮」と言う古代ギリシャ語から来ている。「女性の子宮〈HYSTER〉の位置の変化が女性の気分を変化させヒステリー症状を起こさせる」ということ。すると、女は頭や心だけでなく子宮でも物を感じるという事だろうか?

 

★ベルギーマダムの自由な生き方便り「オデットの場合」もご覧下さい。

 

2010.7.20