メノポーズと性生活

マイスは15歳の娘が妊娠している事が解ったその時から、急に水道の栓を止めたかの様にピタッと生理が止まってしまったと言う。長男の事故死、夫の家出、そして新しいパートナーとの付き合いが始まり、当時15歳だった娘の面倒を見る心のゆとりがマイスには無かった。取り残された娘は非行に走り、妊娠が発覚した時には既に遅く、16歳にして娘は母親になった。そしてマイスは生理が止まると同時に、急激な頭痛と不眠症におちいった。

 

果たして、これらの症状はメノポーズが原因なのか?それともたび重なる心配事が彼女の体に直接影響したのか?そのあたりは解らないが、彼女の女性機能が子供の妊娠をきっかけに反応をしたのはマイス自身驚きだった。

 

彼女の夫が家出をしたあとに現れた新しいパートナーとの結びつきには、性生活がとても大切な事だった。彼女を暖かく包んでくれる男性の力が彼女の心にも体にも必要だった。だが、このメノポーズの兆候が出てから、彼女の身体が性生活を受け付けなくなり始めた。一番の問題は局部の乾燥だった。

 

1997年のヨーロッパ連合白書の中に女性と健康についてのリポートがあり、その中の数々の統計を私は大変興味深く読んだ。北欧の国では勤労年齢の女性達の70%が何らかの仕事に従事しているが、南ヨーロッパでは働く女性が40%にも満たない。そして北欧の国のメノポーズ女性の70%がホルモンないしはそれ以外のサプリメントの摂取をしているが、南ヨーロッパではたったの4%である。これらの統計の差は、宗教、気候、食生活、など南北ヨーロッパの生活環境の違いが多いにあるが、南ヨーロッパの女性たちのメノポーズ治療に対する関心が低い理由の一つは、女性の経済的・精神的な自立が低いというのもその原因であると書かれている。

フェミニズムが浸透しているせいか、北欧の国の女性は、女性の性の快楽に対してのタブーが少ない。セックスは人間の健康な快楽としてエンジョイし、オープンに話し合う気風がある。フィンランド人のマイスはメノポーズの兆候が現れると同時に迷わずホルモン摂取を始めた。それと同時に局部の乾燥を潤わせるために大豆を原料としたジェルを使用している。彼女はパートナーとの性生活はカップルとしての重要な行いの一つと考え、いつまでも二人でそれをエンジョイする事が心と体の健康の秘訣と考えている。そう、確かにもっとおおらかに性生活を楽しまなくてはいけないのではないだろうか、と私も思う。

 

※ベルギーマダムの自由な生き方便り【マイスの場合】もご覧下さい。

 

2010.8.16