いよいよ更年期 ~HRTのスタート(1)~

今年も残すところあと2カ月。なんて月日の流れが早いのだろう。スケジュール帳を見ながら感じ入っていたその早さを、この1、2年は体で感じるようになっていた。昨年とどこか違う、この感じ。気づいたら頭、首、背中にかけていつも重たい。それに昨年までは平気だったこと、楽しいと思ったことが何だか億劫に感じることも多くなった気がする。


ある月、突然予定より1週間以上も早く生理がやってきた。
「ついに更年期・・??」

メノポーズのサインは生理周期の乱れから始まる、ということをもちろん私は知っていた。 データによると、周期が短くなってメノポーズを迎えるのは4%程度と少ない数字ではあったけれど、その後も21~26、7日前後のという早過ぎる周期を繰り返した。
そこで、婦人科系の定期検診の際思い切って女性ホルモン値の検査も申し出てみた。八年前のことである。

 

結果小さな子宮筋腫が見つかったことを除けば、私の心配は杞憂に終わった。 癌検査の結果はもちろん、女性ホルモンのほうも「バンバン出てますよ!」とのこと。 骨密度も20歳の120%比で先生に褒めて貰ったほどだった。でも、少しずつ何かが変わってきているのは明らかだった。

 

このとき、40代前半にしてすでに私はメノポーズ予備軍としての自覚を十分すぎるくらい持っていたし、 その到来を少しでも先延ばしにしたいと真摯に考えてもいた。そんな中で、いよいよ本格的なメノポーズ期に入ったら是非とも積極的に試そうと考えていたのが“ホルモン補充療法(HRT)”だった。やがて三人の娘のうち二人は成人し、両親も看取った。夫は海外駐在。がんじがらめだったそれまでに比べると、私は自由に使える自分だけの時間をどんどん取り戻していた。 ずっとやりたかった仕事を始め、大学院にも入学し、マラソンにも挑戦した。そのうち、メノポーズなんて案外このまま何食わぬ顔でやり過ごせるんではないかしら?と考え始めていた。二年前までは。

 

「やりたい事がいっぱいあって、メノポーズなんかで悩んでいる時間はありません」
これは、最近読んだある雑誌での女優さんの言葉で、彼女は私と同い年。確かに、確かに同感だったけれど・・・私だってやりたいことは山ほどある。 でもこの1、2年というものは、気持ちについてこない体に心から焦れていた。 腰痛がひどく、マラソンどころかジョギングだってできなくなっていたし、頭や肩が重くて書かなければならないレポートがあっても夜更かしができない。 そんな自分に落ち込む。いよいよHRTを始める時期に来ていた。

 

パソコンに向かって情報収集。欧米では60%以上普及している国もあり、アジアでさえ台湾18%、韓国9%という中で日本でのHRT普及率はなんと1.5%! けれど、調べれば調べるほどやってみる価値はありそうだった。クリニックも決まった。そしてついに私は、更年期外来へ足を運んだ。「緩やかな効果」より、もっと「確かな効果」を体感したかったのだ。

 

 

2009.11.9