ハタチのスカート

どういう訳か二十歳の時にはいていたスカートが1着だけ手元に残っている。子供の時から母の手作りの服を着て育った私も、大学に入る頃から、母は私のために服を縫うことはなくなっていた。 このスカートは母が作ってくれた最後のスカートだったかもしれない。そんなこともあって、外で着ることはないけれど、捨てる気にもなれずに手元に残している。

 

季節が変わって服を整理する時に、ごくたまに思い出したようにはいてみる。これはサイズチェクのためのスカートだ。 昔のスカートでインサイドベルトが入っているので、ごまかしようがない。

 

40代の頃までは問題なく入っていた。 ところが50をいくつか過ぎた頃、当然入ると思ってチェックするとウエストが10センチも足りないではないか! どうしたことだ!!私は特にメノポ(更年期)の何の症状も無く過ごしていたが、これかッ!
人に言えば「アナタ、二十歳の時のスカートが入る方がおかしいでしょ」と一喝される。余計なお世話だ。

 

ハタチのスカートは私のカラダのバロメーター。これはアカン。だけど内心、もうダメだ、手遅れだとも思って、あきらめてもいた。

 

9月に入って、そろそろ秋物が着たいと思い、クローゼットに頭を突っ込んでいたら、すみっこにハタチのスカートがしょんぼりとぶら下がっていた。セミフレアーの膝丈のシルエットは今の気分にピッタリだ。黒いシンプルな形だからブーツに合わせてはいても良い。 ちょっとはいてみよう・・誰も見ていないのに、なんとなくコソコソしてしまう。

 

数年前にはパックリ10センチも開いていたウエストが5センチ程に縮まっていた。たまたま、ここ数年は前から続けている水泳に加えてダンスを始めて運動量が増えている。肩を痛めて通い始めた整体では姿勢矯正もしている。それが良かったのかもしれない。息を吸い込んでお腹をへこませると、どうにか鍵ホックがとまった。あと少し。

 

このデザインは今をのがすと、またいつ巡ってくるか分からない。それこそ、その時は手遅れの可能性が大きすぎる。ヨーシ。今年の冬はハタチのスカートをはくぞォー!

 

 

2009.10.1