あっけらかんとアンチエイジング!

おしゃれなアパート

私の住むアパートと川を挟んで向かい側に立つアパートは以前に、月曜9時、いわゆる「月9ドラマ」の撮影にも使われたオシャレなアパートである。川に向かった壁面はすべてガラス窓になっていて、クリスマスの頃になると斬新なデザインのイルミネーションが幾部屋もの窓を飾り、川沿いの並木道を歩く人たちの目を楽しませてくれる。

 

ある日、並木道を通りかかると、そのアパートの一室のテラスで50代と思われる一人の女性が北欧風の素敵な椅子に腰かけて読書をしていた。また別の日の夕暮れどきに通りかかると、彼女はテラスにキャンドルを灯し、その椅子にゆったりと座って風景を見ていた。それはまるで映画のワンシーンのようで、私は思わず立ち止まってしまった。

私はこの川沿いの並木道が好きなので毎日歩くのだが、ある夜通りかかると、他の部屋にはブラインドが下ろされているのに彼女の部屋だけはブラインドが下ろされていない。あっけらかんと光を放つ部屋の中で、ソファーにゴロリと横たわっていたかと思うと、キッチンでなにやら料理でも始めようとしている彼女の姿がはっきりと見えるのだ。
いつ見ても彼女は楽しげで、なによりも他人の視線など意に介していないようだ。たぶん、他人の目を気にすることよりも、自分自身のきもちのよさを優先する自然体の女性なのだろう。

 

川が眼前に見えるせっかくの景色をブラインドで遮ってしまうのはもったいない、と思うのは私も同じなのだが、彼女ほどの度胸のない私はフロアスタンドのみの照明にして夜景を楽しむことはある。しかし、彼女ほどにオープンにはなかなかできないものなのだ。毎日のように見かける彼女は、いきいきと生活を楽しんでいるように見える。彼女のような暮らしぶりならストレスなど皆無なのではないか。

 

きっと彼女は、エイジングのことなど考えていないだろう。考える必要もないくらいの彼女のようなストレスフリーな暮らしこそが、じつはアンチエイジングの基本なのではないか。私も彼女をお手本に、「あっけらかんとアンチエイジング!」といきたいものだ。

 

 

2010.6.21