優雅にドライブいたしましょう!

ドライブ

先日一日半の休みを利用して、琵琶湖畔のドライブにでかけた。私は二十七歳のときに運転免許を取ってからの八年間は、一度も運転をしない正真正銘のペーパードライバーだった。それが一家で田舎暮らしを始め、車の運転ができなければハガキを出しに郵便ポストにも行けないことを知り、ペーパードライバーを返上することを決意した。近所に住む十九歳の浪人君に助手席に座ってもらい、雨の日も風の日も毎日毎日急カーブばかりの山道で、ときには側溝に脱輪するという恐怖体験もものともせずに練習に励んだ。彼のおかげで、私は山の中にあるわが家から海辺の町まで一人で車に乗って、買い物に出かけられるようになったのだ。

その後少しずつ腕を上げ、なんとか高速道路を一、二度は走っていたのだが、ある夜職場の先輩の運転で高速道路を走っていたらドシャ降りになってしまった。すると、運転していた先輩に「次のインターで運転替わってね!」といわれ、否応なしにハンドルを握るハメになってしまった。大型トラックに幅寄せされたり後ろから追いあげられたり、ヒヤヒヤさせられたが助手席で「大丈夫よ!」と、あねご肌の先輩に笑い飛ばされ続けているうちに、雨の夜の高速運転の恐怖が楽しさへと変わっていったのを覚えている。あのときから私は、高速運転大好きドライバーになった。

 

そして今回のドライブだが、同乗者は車の運転には一番口うるさい友人だ。私の運転でのドライブは田舎暮らしの最後の頃に何度かしたことがあったのだが、いつも一言二言は叱られた記憶がある。さーて、今回は如何なりますでしょうか?

 

四日市から鈴鹿山脈の裾野を回って彦根の琵琶湖へのドライブは、天候にも恵まれて快適だった。そして、終盤に同乗の友人に「運転上手くなったんじゃない?」と、意外にもほめられた! 私は田舎暮らしをやめて、東京都心で暮らし始めてからの数年間は一度もハンドルを握っていないのであるから、これはうれしい驚きだった。勝因は自分の分をわきまえるということか。

 

五十代になると、これまでの経験から自分の力量が分かってくる。無理をせずに、余裕を持つ事の大切さを知るのだ。余暇を楽しむためのドライブは脳に適度な刺激を与えるとともに、心とカラダをリラックスさせてくれて、アンチエイジングにはうってつけだ。私もこれから年を重ねるにつれ、よりいっそうマナーと分をわきまえて、優雅にドライブを楽しめる女性になりたいと思っている。

 

2010.12.16