先手必勝!

昨日の春の嵐とは打って変わって、今日はうららかな春の陽射しが満ちている。わが家のベランダの鉢植えたちも若芽を出し、駐車場を挟んだ向こうの家の壁を這う蔦も、青々した葉を繁らせている。

 

ベランダのミント

ベランダでミントを摘んでいたら、下の階に住む女性が庭に出て来られたので、思いきって声をかけさせてもらった。じつは二日ほど前の深夜、カウンターから卓上用の鏡を落として割ってしまい、大きな音をたてた。

そんなこともあって「今度見かけたらすぐに声をかけよう」と心に決めていたのだ。急に上から声がして、彼女はいつも着けているウィッグを着けていない頭を気にしながらも、音は気にしないで大丈夫と言い「あなたは本当にいいマンションに越して来られた」といつものように締めた。管理組合の重鎮でもある彼女には、入居前からお世話になっているのだから、こちらから声をかけさせてもらうのは当たり前のこと。しかし、その当たり前のことが、意識しないと出来ない自分なのだ。

 

 

 

三月末に職場の面接があった。半年前の面接で、根底からの改革を決意した私はその頑張りはきちんと評価された。しかし、「積極的に発すること」と今後の課題を出された。毎日のミーティングや会議で自分の意見を一番に発言する。他人の発言を聴いてからではなく、一番でだ。

 

元々私は引っ込み思案なのだ。子どもの頃は積極的な姉の影に隠れるように生きていた。

それが、結婚をして子育て中は環境が良かったせいで、かなり積極性が培われたものの、再度環境が変わると「お先にどうぞ」と人様の後からついて行くタイプに逆戻りなのだ。さすがに上司は、そんな私の性格を見抜き課題を出されたのだ。求められる意見の精度が高く、しかも迅速に返答をしなければならない現在の職場では、先頭を切って話す勇気はとうてい湧かず、いつも二番目、三番目になっていたのだ。

 

これを打開するには、日常的に自分から他人にできるだけ声をかけさせてもらい、他人と自分の壁を崩し、自信があろうがなかろうが、人前ではっきりと意見が言えるようにしなければならない。

 

だから、私は階下の女性に、声をかけた。いつもなら、だれとも会いたくない休日の朝、こちらは部屋着、あちらはウィッグなしの状態だ。細かいことなど考えていたら、タイミングを外してしまうから、なにも考えずに、まずは声をかけていった。

 

新年度が始まってから今日までの二十日足らずの間、毎日のミーティングと会議の場で、私は先頭を切って意見を言うようにしている。ミーティングの時間が迫った数分間に、今日一日の仕事を振り返って、自分の意見をまとめる作業をしながら仕事を進める。その集中した時間が気持ちいい。ミーティングでの発言もやり始めると度胸がついて、あたりまえのようにでき、一番に出さないと気分がスッキリしないほどになった。以前は緊張感に打ちのめされる毎日だったのだが、今は緊張感が心地よい。脳と精神がパワーアップしている感じなのだ。

 

 

意識して、準備して、積極的に発する。それが、周りに対しても自分に対してもの先手必勝法だ、と気づいた今日この頃なのです。

 

 

2013.4.24