強く生きる!

ノロウィルスに近い風邪を、暮れも押し迫った20日にひいてしまった。朝から胃がムカムカしていたのだが、夕方から何回も吐き、吐き気がおさまらなかった。次の日は白湯とスープと小さなパンを1つだけ食べて、なんとか吐き気を押さえ込んだのだが、夕方から発熱してカラダの節々が痛んだ。職場から、いつもは歩いて帰る道のりをバスに乗り、階段の上がり降りはエレベーターを使ってトホトボと家へ帰った。


寒気がおさまらないので葛根湯を飲み、嘔吐に効く薬など持ち合わせているはずもなく、神頼みとしか思えないが正露丸を飲んだ。そしてCDデッキのボタンを押してショパンのピアノ曲を聴きながら着替え始めた。着替えることがなんとも億劫で辛く、まるでスローモーションビデオの登場人物のようにしかカラダが動かない。やっとの思いで着替えた後、「ハー」「ハー」と青息吐息で歯を磨き、顔を洗い、フトンに潜り込む前に、力を振り絞ってCDをMr. Chirdrenに換えた。

ミスターチルドレン

1分1秒でも早く横になりたいのに、ミスチルの歌を1曲でも聴いてから眠りたかった。結局すぐに寝入ってしまい、聴きたかった歌は聴けなかったが、カラダが弱っているときだからこそ聴きたい歌声があるものなんだ、とそのとき気づいた。私がMr. Chirdrenを聴いていたのは、今から12年ほど前。ミスチルファンの大学生の女の子と一緒に仕事をしていたときだ。彼女はラジオからミスチルの歌声が流れると、足を止めて聴き入り、ニッコリ微笑んで次の仕事へと飛んで行った。

 

現在の私は、仕事で使う資料探しのために、2週間に1度、自宅近くと職場近くの2つの図書館へ行く。時間の余裕があるときには、CDもついでに借りるのだが、なんとなくミスチルを借りて帰った日があった。久しぶりに聴くミスチルは懐かしく、桜井さんの歌声が私の中に染み入る感じがした。そのときは「邦楽のCDなんて聴いてなかったからかな?」 と日本語の歌詞のせいかと思っていた。しかしその後、精神的に落ち込んでいるときに、いつも聴きたくなるのはミスチルの桜井さんの歌声だった。それはわかっていたのだが、カラダがヘロヘロに弱りきってくたばりそうになったとき、ヒトはただ好きなメロディーを聴いて癒されたいワケではなく、好きなヒトの声が聴きたくなるものなのだ、と気づいたのだ。それがわかっただけで、少しだけヒトの本質を知った気がして、今回のノロチックな辛い体験も無駄ではなかったと思っている。

 

Mr. Chirdren

 

Simple

 

ざあざあ降りの雨を全身で受けながら

凛々と茂るあの草木の様に

強く 強く

 

来年も、強く 強く 生きていきます!

 

 

2012.12.28