捨てる門には福来たる!

十二月に入ったある日、あまりにも煩雑に散らかり放題のわが家を見回して、なんとか今年中に片付けておかないと、このままでは前へ進めないと気づいた。だれもが忙しいこの時期だが、近所に住む片づけ上手の友人になんとか力を貸して欲しいと頼むと、仕事の休みの日に来てくれると言ってくれた。自分の家くらいさっさと片づけてしまえばいいのだが、毎日の仕事で体力を使い果たしてしまい、平日も休日もひたすら眠くて、一人で家を片づける気力はどうしても湧いて来ないのだ。この私のわがままな提案を快諾してくれた友人から後日、強力助っ人として旦那様を連れて来るとの連絡が入った。


中学時代からの友人である彼女は、私が「捨てられない女」だということをよく知っていて、いくら片付け上手でも限られた時間内に、役立たずの私と二人だけで片付けるのは無理だと推測したのだろう。当日十歳上の旦那様と仲睦まじく現れた彼女は、彼がどれほど片づけ上手かを私に教えてくれた。ある日彼女は通信教育を受けようと思いたち教材を取り寄せ、手つかずの状態で一週間リビングに置いてしまったのだが「どうせ、やらないんだから」と、その教材一式は彼に捨てられていたそうだ。もっとすごいのは、長年住んでいた一戸建てからマンションへの家族五人の引っ越しを、たった一日で済ませて次の日から一家で旅行にでかけ、帰宅してからは普通に生活を始められるようになっていたのだとか。

片付け 部屋

わが家に着くと、彼は部屋を見回して「これはどこで使うの?」とか「いつ使うの?」と私に聞きながら、奥さんである私の友人との息の合ったプレイで、ものすごいスピードでかたっぱしから片付けてくれて、私の家にはアッという間にスッキリとした空間が生まれた。ゴミの入ったいくつもの大きな袋を捨てて、けっこう気分的にスッキリしていた私に、友人は「どんどん捨てなきゃ駄目よ!私は母が娘に買ってくれた立派なお雛様も捨てたわよ。母は泣いていたけどね。」と話してくれた。

 

強力片付け隊の二人が、遅めの夕食を食べて速やかに帰った後、食器を洗いながら、友人の旦那様がわが家の食品のストックを見て「ウチより多いな」と苦笑いしていたことを思い出した。そういえば、と震災後に買い込んだ食品をよく見てみると、何個かは賞味期限切れだった。次の日、賞味期限切れの食品と紙くずの入った小さなゴミ袋を一つ捨てた。家に戻って部屋に入ると、部屋の空気が入れ換わり、新しい風が入ってきたことが実感できた。

 

今まで、不要品やゴミを捨てて気分がスッキリすることは、幾度も体験しているが、自分の気分という曖昧なものではなく、家の空気や風が換わったと感じたのははじめての体験だった。ゴミという不浄のものを家から出すと、新しい気が入って、その家は浄化されるというワケだ。タレントの松居一代さんが「家をきれいにすると、しあわせが入ってくる」と何かにつけて言っていたのは、こういうことなのか、と頭ではなくカラダで納得したのだ。たとえ小さなモノでも不要なモノはゴミとして捨てれば、気が動くのだ。わが家を気の巡りのいい幸福な家にするために、ゴミはどんどん捨てちゃいますよ〜!

 

2012.1.3