湘南の風に癒されて

このあいだ藤沢の実家へ帰ったついでに、鎌倉で友人夫妻が開いている骨盤矯正の治療院に行った。彼らと私は、30代に入ったばかりの頃に知り合った。その頃、編集の仕事で一日中パソコンにへばりついていた私は、カラダ中がこりまくり、「プレ更年期では?」などと年上の友人にいわれ、近所で評判の治療院へ行ってみたのだ。彼は窓の網戸を全開にして治療をしていた。樹木の多い地域なので虫が当然入ってくるのだが、「網戸を開けるといい風が入ってくるから」と虫のことなどおかまいなしなのだ。

 

話をしてみると、私より一歳年上の彼は湘南で生まれ育ったという。私は東京生まれの東京育ちなのだが、中学に上がるまでの夏休みの間中、叔母一家の住む藤沢の家で毎夏を過ごしていた。叔母は網戸が嫌いで、肌の弱かった私が蚊に刺されて水ぶくれを作りまくっても、「風が通るでしょ!」といって家中の網戸を開け放っていた。「湘南の人は風にこだわるんだ」と親近感を持ち、毎週のように彼の治療院に通った。彼らの治療院はたいそう繁盛していて一ヶ月先の予約も取れないのだが、私が遊びがてら最終の時間に行くと、疲れた顔も見せずに「どうぞ!」といつも治療をしてくれる。今回は本当にカラダがボロボロだったのだが、「ハッ!ハッ!」と彼の気を入れてもらい、骨盤矯正をしてもらったらスーッと楽になった。

由比ヶ浜の砂浜

その日、治療院終了後にタクシーに乗せられて着いたのは由比ヶ浜。砂浜に出ると「ここはカリフォルニア?」と思うほどのおしゃれなクラブやレストランが建ち並んでいた。その中の一軒のタイ料理レストランで食事を済ませて砂浜を散歩した後、駅までの道を夜風に吹かれ、アイスを食べながら3人で歩いた。話題はいつも、「楽しい湘南暮らし」について。そして、最後に必ず「早くこっちへおいで」と誘われる。誘われる度に、本気で「湘南移住」を考える私なのだ。実家の近所を母や姉と散歩をすると、東京では感じられない風を感じるからだ。樹木を通る風の音や海から来る風を感じるだけで、心とカラダが癒されて元気になるのだ。実際、骨盤矯正師の彼は以前よりも若々しくハツラツとしているし、姉は「この辺は気候がいいから老人たちが元気だわ」という。たぶん、東京近郊のアンチエイジングスポットなのだろう。

 

しかし、「まだ早い、もう少しだけ暑苦しい東京でやらなければ」と最終的に必ず思う自分がいる。さあ、骨盤矯正治療院付きの湘南暮らしをする前に、もうひとガンバリいたしましょうか!

 

鎌倉の小町通にある虹治療院:http://www.niji-chiryoin.com

 

 

2010.8.23