背筋の伸びた「いい女」

もう10年以上も前の話だが、私は女性誌のクロワッサンを愛読していた。その頃、誌面にしょっちゅう登場していたのが元モデルの宇佐美恵子さん。20代の頃には、マツダのCMで世の男性方の視線を一斉に集めた「ラグジュアリーな女」である。彼女を、クロワッサン登場よりも少し前に一度、六本木のジェラード屋さんでお見かけしたことがあるが、雰囲気のあるすてきなオトナの女性だった。

 

その「元・ラグジュアリーな女」がクロワッサン誌上で薦める「いい女術」の決定版が、「正しい姿勢」だった。彼女がモデルとして活躍していた頃は、杉本エマさんを筆頭にハーフのモデルの全盛期だった。ハーフの八頭身美女たちを相手に、自分のインパクトを強めるために彼女は並々ならぬ努力をしてきたのだろう。彼女のほどよく筋肉がついた引き締まった肉体は魅力的だが、正しく美しい姿勢を保つことで、その魅力は倍増し、存在感のある「ラグジュアリーな女」へと進化するのだ。

 

一般人の私たちは、「ラグジュアリーな女」や「いい女」にとくになりたくなければ、ならなくてもかまわないと思う。しかし、それが五十代となると、そうも言ってはいられない。姿勢の良し悪しで、第一印象が決まるからだ。第一印象でまず気になるのは年齢ではないか。姿勢のよいひとは健康的で実年齢より若く見えるが、姿勢の悪いひとはその反対に老けて見えてしまう。自分が五十代になり、まわりの五十代を見ていて分かったのだが、四十代までは「猫背」でとおっていた多少の背筋の曲がりが、五十代になると「猫背」ではとおらなくなる。もはや「猫」ではなく「老い」を連想させてしまう。どんなにチャーミングな女性でも、曲がった背筋からは「老い」以外のなにものも感じられないのだ。

 

女が惚れる女のルール

そしてある日、悲しいことに、背筋が曲がりぎみになっている自分がいることに気づいた私は、宇佐美恵子さんの本を借りるために図書館へと走った! 宇佐美恵子さんの薦める正しい姿勢のとり方を、もう一度学ぶためである。立ち上がって、腕を頭の後ろで組み、二の腕を手でつかむ。このとき、顔は正面に向け、まっすぐ前を見るようにする。この姿勢を維持したまま、ゆっくりと手をおろす。かなりそっくり返っているような感じがするのだが、これが正しい姿勢なのだ。一瞬で背筋が伸び、二センチは背が高くなり、ヒップも三センチは上がって見える。これを一日に一回は大きな鏡の前に立って、六本木でお見かけした彼女の姿をイメージしながらやるのである。ヨガやストレッチでは、このイメージすることが大切なのです。「いい女」をイメージすれば「いい女」になれる!と信じて。

 

 

2011.6.16