風邪には「気合いだ!」

不覚にも風邪をひいてしまった。風邪は自分のカラダに目が届かず、気もちがそれているときにひいてしまう。今回もそうだった。その週は、週の半ばの水曜、木曜の仕事帰りに急な用事が入った。このところの寒さや空気の乾燥という風邪をひきやすい環境の中で、自分の体調を考えれば断るのが当然なのに、私は安請け合いをしてしまった。その二日間の用事を済ませて、三日目の朝、目覚めたときに喉の痛みを感じ、まんまと風邪をひいてしまったのだ。

しょうが湯

いつもなら、「ちょっとおかしい!」と思ったら、うがい薬でうがいをして、濡れマスクをして寝れば一晩で必ず治るはずなのに、疲れと忙しさで自分のカラダの変化に気がつかなかったのだ。クシャミ、鼻水に加え、午後になると熱っぽく、頭痛と歯痛、腰痛もしだした。その日は「なんで風邪なんぞひいてしまったのか?」としきりに反省し、職場からの帰り道に八百屋さんで生姜だけを買ってトボトボと家に帰った。日常的にカラダを温めて免疫力を高めるために、朝は生姜紅茶を飲み、夕食後も生姜湯を飲んでいる。いつもなら買って来た生姜をすぐにすりおろして冷凍してしまうのだが、前回はすりおろして冷凍する時間と気力がなく、日ごとにしなびて香りと効力の薄れた生姜を毎回すりおろして使っていた。しなびた生姜がこの風邪ひきのおおいなる原因と思った私は、帰宅するやいなやカラダ中のだるさや痛みに耐えながらキッチンの調理台でカラダを支え、くの字になりながら生姜一個をまるごとすりおろした。すると新鮮な生姜のツーンとする香りが部屋一杯に広がり、その香りを嗅いでいるだけで、鼻が通って頭痛と歯痛が治ってしまった! 最悪の体調のなかで、生姜の薬効のすばらしさを改めて認識したわけだ。

 

風邪の特効薬はなく、カラダを温めて休養をとるのが一番なのだが、風邪の不快感から逃れよう、とついつい薬を飲んでしまう。葛根湯を飲もうかと思った私は、今回は躊躇した。風邪をひくのは年に一、二度のことだし、薬といっても葛根湯ぐらいで、寝込むこともなく治るのだから、私は結構丈夫な方かもしれないと思っていたのだ。しかし、お正月に帰って来た息子たちにそう話したら、「甘い!!」「風邪なんてひかない!」「万が一ひいても薬なんか飲まずに気合いで治す!」と口々にいわれてしまった。そうなのだ。そうだったのだ。「風邪は気合いで治す!」と息子たちに教えたのは、ハイ、私でした。

 

 

2012.3.6