50歳の自動車免許取得

たいへんご無沙汰しておりました。気付けば今年も終わり。不穏なままの年の瀬となりました。年末年始は車で伊豆へ行く予定です。熱海側から攻めずに箱根ターンパイクから伊豆半島に入ります。

 

50歳で自動車免許を取得してから随分いろいろな所へ行きました。

 

50歳で免許なんて遅いでしょう? ところが、東京にいる限り、よっぽどのことがなければ車は要りません。免許も持たず暮らすことが可能です。免許取得を考えたのは、ある日、終の住処が東京とは限らない身の上だとふと気付いた時でした。東京以外のちょっと地方に入れば、直ぐに自動車が無ければ立ち行かない場所はたくさんあるのです。

 

50歳と言えば反射神経も視力も様々な瞬間を判断する能力に問題が起きてくる年齢。自動車免許を取るということは、行動の幅が広がる、住む場所を選ぶときに広範囲を考えられる等、メリットが大きい半面、アクセルとブレーキの踏み間違い等、高齢に差し掛かり、交通事故等で他者に対して加害者になる可能性も高いということでもありました。加害者にだけはなりたくない!しかし免許は欲しい。若者と一緒の試験を受けてもきっと自分は半人前のままだろう、それでは安心して運転できない。しっかり学びたい。そう思ってたどりついたのが「一発免許」の取得でした。

 

自動車免許の取得方法には大きく分けて2つあります。

 

1.指定の自動車教習所に通い、所定の時限数の講習を受け、卒業検定に合格する。

2.運転免許センターで技能試験と学科試験を受験し合格する。(通称一発免許)

 

今はほとんどが1.の方法での取得です。2.は1.と同等の教習を受けつつ試験だけは運転免許センターで取得するというもので、私の場合、試験場は「府中運転免許試験場」。警察庁の中でした。

 

要するに、50歳は若い人と違い、反射神経や運動能力のハンディがあるのだから、いっそ自分が納得できるやり方で取得しよう、と思ったわけです。

 

府中自動車試験場では、最初は筆記試験と技能試験。1.筆記試験に合格し、2.府中試験場のコースを運転して合格し、仮免許を取得した後、実際に市街地を走る、3.本免許試験に挑みます。技能試験、本試験の際に同乗するのは警察官で訓練された動きの大きな身体の方々なので受験生はビビリます。

 

一発試験に備えて、私は、教習はサカイドライビングスクール(http://www.sakai-ds.co.jp/)に通いました。ここは通っただけで免許が取れるわけではなく、満足するまで練習したら自分で試験場に試験を受けに行くというタイプの教習所でした。「先生もう一度○○の練習がしたいのです」ということが通る教習所でした。そこには、進みの遅い生徒にも繰り返し丁寧に教え続ける先生がおられ、私は後から来たワカモノが先にどんどん免許を取っていくのを横目で見ながら十分に練習することができたのです。

 

たかが免許でも、もともと運動神経がよいわけでもないので、それはもう大騒ぎだったということです。実に若い人の3倍掛かりました。気持ちが安心するまで、練習をしたかったせいでもあります。

北海道鰊御殿
北海道鰊御殿

免許を取得してから、間髪いれずに車を購入。前後左右に初心者マークを付け後方横に警視庁のピーポ君マスコットをぶらさげた中古のアルトバンは、恐る恐る公道へ出て行きました。初心者マークを付けていると煽られる等の話も聞きますが、なんせ車がアルトバン。どこで何をしていても働く車と間違われて、意地悪をされることは皆無でした。桜のトンネルのようになった道を走った時の感動は今も覚えています。

 

緊張のあまり手に汗握りながらの運転を経て、今では高速道路が大好きになりました。川崎の工業地帯の火を吐き続ける煙突を横目に見る湾岸道路、東名高速登りで観る夕日の中のコカコーラの看板。東名より1,2割流れの速い関越自動車道、東北道の先には今は帰ることの叶わない地へ続く道もありました。まるでジェットコースターが少し大きくなっただけのような首都高には今でもできるだけ乗りませんが、碓氷峠などエンジンブレーキを使わなければならない道も楽しめるようになりました。

夕張のキタキツネ
夕張のキタキツネ

伊豆は近いし、お客様もおられるので、何度となく車で行きました。

 

沖縄の国道58号線の海の美しさ、糸魚川の海沿いの蟹の店の賑やかさ、日光の雪の降る直前の静かなたたずまい。

 

幸い、今はカーナビという行き先を教えれば道を教えてくれる便利なものがあるので、何かと言えば車を使い、仕事でも遠方のお客様のところへ出かけることが億劫ではなくなりました。

 

今一番怖いのが、お年寄りの運転で、高速で60キロ程度で走っている車です。本当に怖いです。彼らを見ていると、自分もいつか歳を取るのだから、省みて危険運転をしているようなら運転を諦めるべきだろうと思いますが、その時はそんな判断も鈍っているのかもしれません。免許の書き換えは実技付きにすべきだと切に思うことです。

 

今回は、車でアンチエイジング。都会住まいでなければ車の運転は当たり前の日本で、今頃やっと車に乗って、その楽しさに目覚めたというお話でした。これからも、安全運転で参ります。

 

 

2012.12.17