メトロファルス

今月は、ライブに2回行った。

 

仕事を終えていそいそと、好きなバンドの音をカラダに入れに行く。聴く人が100人程度の小さなライブハウスには、ステージにも客席にも見知った顔が揃っている。すきな音楽を通じて知り合ったたくさんの人のうちの誰かが、そこにいる。

 

毎日の暮らしで「妥協点」とか「落としどころ」とかを探ったり、労働力を「見積もったり」などしていると、まるで家具の取っ手のところに埃がたまるようにココロにもうっすらと垢がつく。日々の暮らしには「とことん」というのがないからね、基本。「とことん」無しでバランスを取るのが暮らし、といってもいいのだし。

 

そんなうっすら感漂う日常に、ライブは釘を打つ役目を担ってくれる。ステージの彼らは、びしっとドラムをたたき、ギターを、ベースを弾き、ピアノを叩き、声を届ける。要するにとことん演奏し、歌ってくれるのだった。誰かが、いいJAZZのライブは便秘が治る、と言っていたが、ロックバンドは血行が良くなりますよ。毛穴に音が入ってくる。好きな旋律、泣きそうになるフレーズ。

 

ライブの演奏時間は2時間から2時間半。その間に、日々の垢が落ち、久しぶりに「とことん」な感じを味わい、すっきり酔いしれて帰る時は断然イキイキしてしまう。これがアンチエイジングでなくて、何がアンチエイジングか!とすら思う。

 

私の愛してやまないバンドに、メトロファルスというバンドがある。演劇好きな方には、松尾スズキのミュージカル「キレイ」(主演:奥菜恵)に出演、音楽を担当したバンドと言えばご存知の方もあるかもしれない。今年で30周年、50男が飽きもせずステージの上でとことん演奏し、歌いまくる宝物のような(あ、わたしにとってはね)バンドなのだ。

 

最初に聴いたのは24年前。渋谷EggMANで衝撃を受けた。そのあと京都、大阪までくっついて行ってそのライブを味わった。バンドだから長く続けている間にあれこれありやきもきもしたが、ライブに行くとそんなものはぶっとんだ。ライブのたびに彼らは、日常にちぢんだ私を、もっと!もっと!もっと!この世はすてきだと教えてくれ続けた。男女でも家族でもなく、愛する生身の音楽がある幸せを今でも噛み締める。今年は5月に、メトロファルスの「30周年ライブ」がある。そう思うだけで、エストロゲン+アドレナリンが増える。

その日まで死ねない。

その日までしっかり働くのだ。

 

*リンク http://www.myspace.com/metrofarce

 

 

2010.2.15