私をキレイに見せるのは、私です。

自分の欠点は、自分が一番よく知っているものです。私も欠点は人並み以上に持ち合わせているのですが、なかでもとくに気になっていることがあります。それは、後頭部頭蓋骨陥没症とでも言えばお判りいただけるでしょうか。判りやすくいいますと、後ろアタマの扁平なのです。本来なら出ているはずの後頭部上段が、フラットどころか逆に凹んでいます。


少女の頃からこれは、かなりのコンプレックスでした。私の小学校時代には、少年はほとんどが丸坊主でしたから、彼らにとって頭のカタチが良くなければ、あれほど恥ずかしいことはありません。髪の毛のない丸坊主アタマは、それこそ、裸で人前に立たされているようなもの。そのくらい、丸坊主は細部にわたってアタマの型状が判ってしまいますよね。この件に関しては、ほんとうに、女子に生まれたことを神様に感謝しました。


だから、私にとって髪の毛は命、とても大切なモノ。髪の毛の果たす役目ははかりしれません。母につれられて美容院に行った時など、鏡に映る美容師さんのクシやハサミの使い方などプロの一挙手一投足をもらさず、真剣に食い入るように見ていました。それは、私の最大の欠点である後頭部陥没を隠すのに、少しでもヒントがほしかったからです。

 

そうはいっても、少女が美容院に行くのは、1年に1~2回です。なかなか技を習得して、実戦するまでには及びません。けっきょく社会人になり、ビューティサロンに行く機会が多くなってからです。

 

門前の小僧とはよく言うもので、美容師さんの習得している技をちらりと盗めるようになってきました。はじめは前髪を少し切ってみる程度だったのですが、仕事の忙しさが続き、週末も仕事を持ち帰り、予約をして美容院に行く時間さえ惜しかったある日曜日のこと。洗面台の下の床に新聞紙を敷き、Tシャツになり、首に特大のゴミ袋を巻いて、鏡の前で手にはもう一枚鏡を持ち、いきなり後ろの髪をチョキチョキ切りはじめたのです。自分の扁平アタマをカバーできるように、必死で考えながらです。


自前カット初体験の日は、おおよそ2時間くらいかかりました。仕上がりは、かなり上々。後頭部の扁平は隠せています。それから、20年。ほとんどは自分でヘアカットしています。最近では新しいテクニックを習得するために息子をヘアサロンに連れて行き、中学生割引カットをしてもらっている間、雑誌を見るふりをしながら、実は違う人のカットをチラチラ。新しい技を盗んでいます。

美容師さんに高いお金をお支払いして、おまけに待たされたりして、それで今ひとつ気に入らずに我慢しているという方、たくさんいらっしゃることと思います。やってみませんか、この際思い切って、ご自分でパチンパチンと。髪の毛は、またすぐに伸びてきますから、修復も簡単です。そこが、裁縫などとは違うところですよね。

ハサミで、自分の思うように切る。これは、かなりのストレス解消にもなりますよ。

 

 

2010.3.8