ばかにしてはいけない!

美しい60代、美しい70代、美しい80代の女性たちを。

                             2013.7.22

週末に、目を通していなかった新聞をめくった。最近ちょくちょく見かける広告で、気になっているモノがまた眼にとまった。ある大手飲料メーカーが、最近サプリメントや化粧品の領域にまで進出し、売り上げを伸ばしている。そのことは話の本題とは無関係なのだけれど、その会社が最近売り出した化粧品のターゲットが60代~70代女性なのである。ポイントはここ。今まで、大手の化粧品会社で、60代~70代女性を相手にしたブランドなんてありましたか。少なくとも私の記憶では皆無です。これほど、高齢化社会になり、20代~30代の若い女性より、40代〜50代の忙しい女性より、お金もあり、時間もあり、アンチエイジングしたい意欲もあるというのに、60歳過ぎたら、おしゃれに無縁の姥捨て山に行くしかないと言わんばかりのメーカーの仕打ち。60歳過ぎた女性たちは、「美容」や「ファッション」の市場から、今までは完全に無視されていました。メーカーの現場でマーケティングを考えている方々が、まあご自分の祖母くらいの年齢なのですから、肌なんてどうせボロボロ、今さら恋も婚活も関係ない。そんなターゲットにスキンケア戦略なんてバカバカしい!くらいのことを潜在的に思っていらっしゃるからだと思います。さらに、現場にオトナの女性マーケッターが少ないことも問題です。いまや女性は軽く90歳まで生きる時代です。老人用食事の宅配、介護用品などなど、いわゆる典型老人のためのマーケティングはなされていますが、「優雅」に「素敵」に生きる「超オトナ女性」のライフスタイルをフォーカスした市場商品はまったくありません。最近出版された岸恵子さん書き下ろしの小説「わりなき恋」でも読んでいただければ、60代〜70代女性の現実がおわかりいただけると思います。化粧品なら「資生堂」さん、宝飾なら「ミキモト」さんあたりが、60代はまだまだ、80代までも美しく生きる女性のための斬新な「新ブランド」を立ち上げていただけないものでしょうか。

 

タナカキヨミ