困ったネ!専業主婦の母親からは、専業主婦志向の娘が育ちやすい!    

 

 

                                                               2013.11.1

現代の30代~40代女性の現実は厳しいものです。少子化の世の中、少女時代は無限の可能性を賛辞されながら大人になり、就職して、恋をして、結婚する。そして、30歳を過ぎる頃には、そのほとんどの女性は出産を考えるようになり、そこで妊娠を決断する。10ヶ月して出産してみると、そこには思いもかけない現実が。子供は24時間態勢で母親がケアしなければ育たない。仮に保育園に入れたとしても、朝から深夜まで預けるなんてことはできない。ましてや免疫のない赤ん坊が団体生活をするということは、次々に風疹やおたふく風邪など突発的な病気をもらってきて、母親は身動きがとれなくなる。だから、「出産後の女性の6割が仕事を辞めてしまう!」。最近新聞などが大きく取り上げているテーマです。

責任や時間に縛られる大企業に就職をしている女性であればあるほど、辞めなければならないところに追い込まれやすいのは当たり前。まあ、一般論的に話せばこのことはあまりに必然過ぎて問題視する気にもなれません。会社に保育施設があるとか、元気で暇な両親がすぐそばに暮らしているとか、お金が有り余っていてお抱えのベビーシッターを長時間確保出来るとか、自宅作業の仕事で面倒見の良い夫をもっているとか、はたまた本人が自由業で通勤がなく時間がフリーとか。このくらいしか私には、出産して子育てをしながら仕事を続けられる策がみえてこない。しかし、そんな風に子育てを誰かにサポートされている女性がどのくらいいると思いますか、限られています。今、この国が望んでいる「もっと、働く女性を増やしたい」「もっと、子供の人口を増やしたい」、これは非情に相容れない矛盾した希望です。たぶん私の経験も含めて分析しますと、女性たち自身が「子育て」が自分のキャリアの足かせになるということをあまりに無自覚に大人になり、出産に突入してしまうということではないかと。

もし、自分のキャリアをいっぺん投げ捨てなければ子供は育たない!ということを少なからず10代の間に教えられていれば、22歳で大学を出てから、その後10年間の働く意識が違うでしょう。男性の2倍働けば良いと思うのです。言い換えればスキルを男性の2倍磨いておくということです。そうすれば、3〜4年の間、仕事を中断しようが復帰はそれほど難しくないと思います。今までのキャリアをもって、他の会社に働きかけるのもよし、元の会社に声をかけるのもよし。生きることはそんな楽じゃありません。仕事も、子育ても。その両立をすることはもっとスーパーでなければできない。

私の母はそれこそいまで言う、バリバリのスーパーキャリアウーマンでした。だからでしょうか、私が小さい頃から、いつも言っていました。「子育ては、それはそれは大変。生半可な生き方をしていたら仕事なんか絶対続けられない」「専業主婦で人生を終わるのはもったいない」「子育ては一時だけど、仕事は一生。」そんな母の口癖をいつも聞かされていた私は、子供時代から思っていました。「仕事を続けたいなら、出産前にキャリアを身につけておくこと」と。おかげで私の20代は怒濤のように過ぎましたが、いまは母に感謝です。先進国の中でも、日本は昔から専業主婦がとてつもなく多い国です。だから、娘を育てている母親が子育てをしながら仕事もするということの大変さも素晴らしさも教えることができていません。これらを両立するために、仕事をあきらめるのではなく、スキルを結婚前に高めておくというような賢明な策をどれだけ教えられているでしょうか。これが出来ていないから、いま日本において、キャリアのある女性で子育てをしている女性が少ないという問題を生んでいるのでは。これは専業主婦大国を長年良しとしてきた日本国のツケでもあります。いまからでも遅くはありません。家庭でも学校でも、女性の生き方をもう少しリアルに教えて頂きたいですね。

女性として生まれてきたからには「子供を産む」こと、これほど素晴らしいことはありません。でも一方で、「生きがいをもって働くこと」これも素晴らしいことです。お金持ちの旦那を見つけて楽して暮らすという幻想は、もう捨てなければいけない時代です。少子化なのですから。すべての男女が働かなければ、労働人口は限りなく減ってしまいます。

 

タナカキヨミ