「耐える女は大島紬」

「耐える」なんて言葉は、私の生き方の中で一番遠くにあったはず。それよりも、節度ある自由奔放な生き方を目指し、ある程度そう生きてきた。

 

でも着物を着始めて間もなく、「耐える女は大島紬よ」、とある雑誌で 好きな作家さんがコメントしていらっしゃるのを読んで、「そうなんだー!かっこいいい!大島紬ね!」と思ってしまった。耐える=けなげ=美しいというイメージが私にはあって、そんな生き方が出来る人が羨ましいとは思うけど自分とは無縁だわ、出来ないわ、と避けていた。着物には全く興味が無かったので、知識も皆無。何でも受けいれる時期に目にした言葉なので、よく知らないけど大島紬の似合う女になろうと決めた。

 

今にして思えば すこし無謀だったのかも・・・・

 

とにかく私の着物は、大島紬という思いこみで始まった。 もっと知りたい熱、着たい熱、見たい、聞きたい、やってみたい、行きたい。そしてじっとしていられなくなり行動開始。山形、新潟、佐渡ヶ島、能登、栃木、千葉、京都、山陰、山陽、沖縄本島、八重山、奄美大島へと産地巡り。

昆虫類が大の苦手ということも忘れて養蚕農家見学にも行き、手のひらにお蚕さまをのせられてひっくり返りそうになったりもした。

 

そうこうしているうちに、着物を着るということは、心を着ることと思うようになった。 どこの産地も伝統文化の継承を掲げて活性化に心身を捧げている。生半可には着れないぞ。携わっている方々への感謝、敬意、畏怖。お蚕さんへのありがとう!もある。

 

プライベートで着る着物は、少しはTPOも意識するけれど、自分のために着る。けれど、やはり着物姿というだけで他人の注目を浴びることになるので、綺麗でかっこいいコーディネートと着付けは当然ながら気をつける。

 

帯のお陰だけではなく、気持ち的にも背中がのび、内蔵の働きも良くなり、肌荒れ知らず。そのうえ、加齢と共に衰えてくる背筋も保たれるので、 肩凝りも無くなり、疲労感も無い。つまり、しゃきっとする。

 

下駄や草履をはいて、どちらかというと足裏の内側に力を入れて歩くので、知らず知らずの内に膝と膝をすり合わせるように歩いたりするようになり、太ももの内側が締まって細くなった。履物の効果で外反母趾の進行も止まっている。

 

何よりも、作ることに一生懸命に携わっている人たちからいろいろと学び、綺麗のもとになるパワーを貰っている。

 

あの時、着物に出会って、本当に良かった!

 

2009.4.17

 

■「奄美の地・血・智」と名うっての作品展のご案内を申し上げます。

琉球藍と車輪×泥染めの作品です。

「奄美の地・血・智」展

日時:2009年4月15日(水)~19日(日) 11:00~19:00

場所:ギャラリーPOMAR(ポマル) - 渋谷区恵比寿南2丁目29-5-1F

(恵比寿ガーデンプレイス側に出て、右のアメリカ橋を渡って徒歩1分)

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TEL:03-6662-6700