『マンマ・ミーア!』オンナの友情は、50歳からがホンモノです。

C)2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
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第2弾でご紹介する映画は、この春封切られたメリル・ストリープが主演を演じる『マンマ・ミーア!』です。

ブロードウェイで10年前から上演されている人気のミュージカルが、ハリウッド映画になりました。50代女性には、超おすすめのポジティブ・ラブストーリーです。 恋あり、友情あり、歌あり、ダンスあり。

 

だいたいミュージカルの映画版は迫力があり、楽しいものなのですが、これほどだとは思いませんでした。

 

メリル・ストーリープ演じるドナは、シングルマザー。ギリシャのとある島でペンションを自営しながら、娘を育て上げました。その娘が、明日、結婚式を挙げる。その準備のシーンから映画ははじまります。

招待されたドナの親友、独身主義の料理研究家ロージーと離婚太りで整形の達人ターニャ。一方で娘が、自分の本当の父親を知りたいと思い、こっそり招いたドナの昔の男たち3人。建築家のサム、銀行家のハリー、冒険家のビル。ちなみにサムは、007で5代目ジェームズ・ボンドを襲名したピアーズ・ブロスナン。カッコイイ!

 

しかし、ここでの彼らは、見るからに体型も絶頂期とは程遠いオバサンとオジサンたち。 この平均年齢50歳も半ばの男女が、少女や少年のように初々しい。

 

観ているこちらも同じ50代女性として、思わずドナになりきってしまいました。オンナ友達との久々の再会で、少女のようにはしゃぐドナ。かつて恋したサムたちとの再会に、頬を赤らめてどぎまぎするドナ。全編を通して歌われるABBAの歌の数々。ふりそそぐ太陽、すきとおる碧い海、爽やかに吹き抜けるギリシャの風。

 

50代までつき合ってきたドナ、ロージー、ターニャの女友達の間には、素敵な時間を共に歳月をかさねた 終わることのないオンナの友情があり、夢があり、恋する気持ちがあり、恥じらい戸惑う少女のような心がある。これぞ映画です。

 

現実に生きる私たちがついつい忘れてしまっている「大切なものは何か」を思い起こさせてくれます。観ているこちらの心の奥で、水が切れてドライフラワーのようになってしまっていた花に 一気に水が吸い上げられて蘇っていくような、そんなみずみずしい気持ちになりました。

 

人生をあきらめないで、ケセラセラと生き抜けば、こんな素敵な結末もあるのかもしれない。そう思わせてくれる終盤の思わぬ展開もロマンチックで素晴らしい。50代は、まだまだ恋する乙女にもどれるのですね。

 

それにしても、メリル・ストリープをはじめ、中年出演者たちの歌と踊りには感服いたしました。歌うことも、踊ることも、どちらもプリミィティブな行為ですから、理屈抜きにしみこんでくるのですね。この醍醐味は、ミュージカル仕立ならばこそ。B型右脳人間にはたまらない刺激でした。50代女性のこころのアンチエイジングに、ぜひ、ぜひ、おすすめしたい一篇です。

 

劇場には、20代カップルばかりだったことが、とても残念。主役は、50代ですのよ。

 

 

2009.4.24