幻のジュエリー

今年は日本中に雪が降り大混乱になりました。ところが今年の北海道はいつも雪が多く降るところが少なく、逆にいままで雪が少ないところが多いようです。ということで今年の札幌の降雪量は少なく、雪まつりの雪の確保に苦労しているようですが、こんな冬なら過ごしやすいと我われ札幌市民はつくづく思っております。

最近の新聞に冬の北海道ならではの、きらきらと美しく輝く「ジュエリーアイス」が載っていました。数年前にひとりの写真家が名づけた「ジュエリーアイス」。海岸に無数に打ち上げられたサッカーボール大やこぶし大の、透きとおり磨き上げられた氷です。

その氷の塊は、寒さで十勝川に張った氷が日中の暖気で割れて海に流れ、波に磨き上げられ海岸に打ち上げられたものです。海岸には重なり合うようにあたり一面を埋め尽くす、たくさんの大きなクリスタルのような氷が太陽の光を浴びて輝きを放っています。1月中旬から現れ2月中旬には幻のごとく消えてなくなる巨大な宝石です。寒さ厳しい北海道の幻想的な景色です。

さて、もう2月です。2月は節分、バレンタイン、父と夫の誕生日等々の日々がつづきます。ある年、節分を忘れ、北海道では殻付きの落花生を豆まきに使うのですがそれを用意していませんでした。夕方、慌てて近くのお店に走ると落花生が売り切れていて、泣く泣くピスタチオを買って豆まきをしたことがありました。神事というのには適当すぎる豆の選び方で、今思うと我ながらお粗末な節分でした。

そして、3月26日には北海道新幹線が開業します。その開業までのカウントダウンが新聞に、4cm×2cm角の北海道新幹線カラーの緑の枠に「開業まであと○○日」と載りはじめました。その下に同じ色の枠で「ひな祭りまであと○○日」と人形店の広告が見事にはまっています。この見事な便乗には何とも笑ってしまいました。

今回の篆刻は節分に合わせて「鬼は外、福は内」です。 2.5㎝角の印材に亜の文字をデザインした枠の中に刻しました。

豆まきの落花生の準備は万全です。豆まきは夜、家の奥から順に玄関まで豆をまきながら鬼を追いはらっていきます。 今年も行事を一つひとつ楽しみながら済ませます。厳しい寒さも2月まで、3月になると雪も緩み春を感じることになるはずです。

はがきに鬼の面と枡に豆、柊の枝を描き「鬼は外、福は内」の印を捺しました。


今回の日本刺繍は二年前に完成した2本目の帯です。淡いグレイの地に「牡丹と菊」を刺しました。 日本刺繍の基礎縫いの一つ牡丹を、先生と一緒にたくさんある牡丹の図柄の中から選び、色を決め刺し始めます。一針一針時間はかかりますが形が見えてくる喜びは格別、そしてゆっくりと7.8ヶ月かけて完成します。少し豪華な牡丹柄の帯は、黄色系の色無地のきものに合わせてお出かけしました。そして、一つ二つと増えていく刺繍の帯を眺め一人悦に入るのです。

 

 

2016.2.2