「秋、到来」

北海道のほぼ中央にある“神々の遊ぶ庭”大雪山では、9月中旬ころから早々と紅葉が始まり、下旬になると北海道の山々では初冠雪があり冬に向かっていることを実感します。数年前までは7月初めのお花の季節、9月の紅葉の季節にと大雪山系の山々を毎年登っていました。

 

大雪の山々は美しく、ため息交じりで景色を眺めながらの登山は贅沢な気分で最高です。なかにはヒグマの予備知識を強制的に教育されてから登山口に向かうような恐怖の山もありましたが、私のお気に入りは「赤岳」と言う初夏のお花、秋の紅葉がとても美しい山です。この時期になると雄大な大雪山が赤や黄色に染まるのを思い出し、登山の誘惑に駆られます。

 

今年、こちらではあまり体験できない9月に入ってからの夏日が続き、残暑と言うものをしっかりと経験しました。それでも確実に秋はやって来てススキが風になびき、名月を見上げるときが巡ってきました。次にやって来る長い冬を思うと少しさびしく、暖かい秋をもうしばらく楽しみたいところです。

今回の篆刻は、秋の印「野菊」です。 やさしい菊が描かれた絵葉書をみつけて、「野菊」の印を捺しました。 残暑に疲れた友人に、このホッとするような絵葉書でお便りを出しましょう。 このコーナーは「紅葉」の印から始まり、とうとう季節の印はひと回りしたようです。

今回の手作り作品も、以前にNHK「おしゃれ工房」で紹介されていたものです。 一度作ってみたかったフランスの伝統キルト、ブティというものです。 白いキルトとして知られているブティは、南プロヴァンス地方に古くから伝わる伝統的なキルティング手法。2枚の布を重ねて図柄に沿って並縫いしたところに、あとからコットンヤーンなどを詰めて膨らみをつけ図柄を立体的に表現します。 その立体的な陰影は美しく、「布の彫刻」といわれているそうです。 いつもは「おしゃれ工房」に紹介されている作り方にあまり忠実ではなく自分流に作るのですが、今回はお手本どおりに頑張ってみようと始めました。

めがねケースです。 白が基本色のようですが、私は淡い藤色にしてみました。 今まで作ったことのあるキルト芯を使うキルトとは違い、布と布の間の一筋一筋に、あとから針に通したコットンヤーンで膨らみをつける作業は楽しく繊細で新鮮でした。 久々に根気良くコツコツと針をすすめ、どうにか完成することができました。

 

2010.11.11