Chapter 15:PUF(足置き)のリフォーム

北フランス・海辺の別荘改装記(15)

このところ左の肩がうごかない。

服を脱ぐのに左肩が痛いため、まるで芋虫にでもなったようにユラユラと体を動かしてやっとこさ、ジャケットやセーターを脱ぐ。左ハンドルの車のシートベルトがつかめない。パーキングに入るときの駐車カードが左手で受け取れない。整体師に行って調子を見てもらっても、どんどん痛くなるばかり、痛くて夜寝返りを打つたびに飛び上がるような痛みが続いた。

主治医に相談して、とりあえず痛み止めをのみ、専門医の診断を受ける事にした。 専門医でレントゲンと問診の診断の結果、どうも50肩のよう、コルティゾンの注射を受けるのと同時にリハビリを週3回、でも治るのには時間がかかるでしょうと言われてしまった。

それにしても、いつも使っている体の一部がうごかないだけで、こんなに体全体が硬くなってしまうなんて。包丁を持つ時にどうも左手の抑えが足りないので切れ味がおかしい。スカートの左側についているファスナーがあがらない、背中のかゆいのもかけない。本当に不便。

いつもリビングで使っているPUFと呼ばれるキューブ型の足置き。

テレビを見る時にこれに足をどーんとおいて、足がむくんでいる時にはこれが一番なのだが、家族全員が好きな時に好きなところで椅子代わりにも使っているので、いつもリビングのいたるところに置きっぱなしになっている。 これを移動する時に、いつもキューブ型の PUF の下に両手を入れて持ち上げて移動していた。でも肩が痛いので此れの移動が出来ない・・・。それでふと、このPUFに取っ手をつける事にした。

材料は昔の皮のバックからきり取った牛革の残りと木ねじ、皮を4つベルト状にカッターでカットして、木ねじで止めるだけ。

あっという間に出来上がった PUFのリフォームを娘に見せたところ、「取っ手に使った皮の切り口の白いところがおかしい」という文句が出る。オッケー、そんな事言うのならいいわよ〜、と私はカットした皮の側面と PUF の布地の間に厚紙を入れて黒いマーカーで皮の切り口の白い部分を塗りつぶし、リフォーム完成。

左右につけた取っ手のおかげで、今までわざわざ持ち上げていたPUFの移動が楽になった。他にも両腕が使えない事で、工夫したい事がまだまだ沢山ある。母のところのダイニングの椅子は、背もたれに手を入れるところがないため、両手で椅子を引いてうごかすしかない。足を少し切って、キャスターをつけたらどうだろうか?

一時的であれ五体が正常に動かない事で、ちょっとした事が出来ないいらだちを感じて。体の不自由な方が普段どんなに苦労しているだろうと、自分のうごかない肩を見ながら思う50歳。

 

2014.5.22