Chapter 4: さぁ、壁紙はがして、漆喰塗りから

北フランス・海辺の別荘改装記(4)

大きな工事は専門家に任せても、予算の関係で内装工事は自分たちでやる事になった。

 

まずは家中に張り巡らされていた壁紙をはがす。30年も放ってあったから、場所によっては、ベロベロと簡単にはがれる壁紙もある。大きなDIYのショップでは、セメントミキサーやら、電動のこぎりやら、と本格的な大工工事の器具を簡単に普通の人がレンタルする事が出来る。そこで借りてきた「蒸気アイロンのお化け」のような器具をつかって、蒸気の熱と湿気で壁紙についたノリをとかして壁紙をはがしていく。2日後には家中がはがれた壁紙だらけになる。疲れ果てている私たちを尻目に、一人だけ元気な犬のシリウスがはがれた壁紙のあいだを走り回る。

壁紙がはがれて裸になった壁は、次に石膏を水で溶いて「漆喰」を作り、でこぼこの壁面を塗って補修していく。言葉には聞いていた「漆喰塗り」という作業をじぶんでやっていって、本当に壁に漆喰を塗り込んでいく作業なのだ!と変なところになぜか感心する。パレットにのせた漆喰を大きなコテにつけてそれを塗り込んでいく作業。これが結構おもしろい。そして、乾いた壁に今度はヤスリ掛け! 体中雪だるまのように真っ白になっての作業が続く。

 

こんな風にして1週間を過ごしていてふと気がついた、 暖房もなく、電話もテレビもインターネットもない生活。お日様が出るとともに目を覚まし、一日中体を動かして、日没とともに一日が終わる。体は疲れているけど、なんて静かで、ゆったりとした暮らしなのだろうかと。

2011.3.30