Chapter 2:受け継がれる家具や電化製品たち

北フランス・海辺の別荘改装記(2)

改装前の様子
改装前の様子

この老夫婦の別荘にはやたらと家具がおいてある。余った家具を皆ここに持ち込んでいたせいか? 統一のとれていない家具が足の踏み場もないほどに置いてある。老夫婦はこの家を売ったのはいいが、この大量の家具の引っ越しがめんどうくさいのか? 奥さんは何度も私たちに電話をしてきては、別荘の家具を安く売るから買わないかと話を持ちかける。

 

「チロリアン風の花柄のソファーは手作りの由緒ある家具だ」、「風呂場にある棚は大きくてとても便利だ」、そして「10年前は最新式だったソニーのテレビはまだまだ良く映るから安く譲ってあげる」と。あまりにしつこさに辟易した主人はとうとう、10年前は最新式だった冷蔵庫とガス台を買うはめになった。

 

10年前は最新式だったテレビ
10年前は最新式だったテレビ

ヨーロッパの高齢の人は、家や車、家具や電気製品を本当に長く大事に使う。車の買い替えは10年から15年が普通だし、先祖代々から受け継いだ200年以上経つ家具を未だにつかっている人が多い。確かに、レンガ作りの家は300年経った今もびくともしないから23世紀かけて家財を使うなんていうのはあたりまえの事かもしれない。だが、消費社会の日本から来たばかりの私には、この感覚に当初びっくりする事が多かった。

 

ベルギー人の義理の母は、50年前に買ったジェネラルモーター製の冷蔵庫を後生大事に使っていた。義理の母が亡くなるちょっと前に、彼女の洗濯機が壊れた。 そのときに母が叫んだのが『あら、こまった。洗濯機がこわれちゃった、たった17年しか使っていないのに!!』だった。

 

2011.1.21