Chapter 10:台所変身術

北フランス・海辺の別荘改装記(10)

トレポーの漁港
トレポーの漁港

この家の衝動買いの理由のひとつが、我が家から車で10分の港町トレポーの魚市場。ここの漁師が地元でとれるホタテ貝や天然のすずき、サバや舌平目、牡蠣にカニを水揚げするとても情緒のある漁港。その魚市場はいつも観光客や地元の人でにぎわっていて、まるで日本のミニ築地。ぴんぴん生きている魚介類がそのまま市場で売られていて、しかも本当に安い。

魚市場
魚市場

我が家は全員食べる事が大好き。特に私は料理が好きなので、我が家の近くの海だけではなくて、食べる事も目当てに遊びにくる友達が多い。おのずとこの家の台所は重要な社交の場となる。別荘にいても一日中料理を作っている私の為に、家族や友人と話ができるように、台所とリビングの境をなくしたのはいいのだが、今ひとつ古い台所のユニット家具が気に入らない。

 

買ったときの台所
買ったときの台所

棚の扉は茶色の木目でレリーフがあり、唐草模様のクラシックな取っ手がついている。調理台はテラコッタ色のタイル張りで目地に汚れがたまって掃除が大変。それにレンジの上にある壁部分は、漆喰の大きなレリーフが付いていて、油で汚れていて、本当にフランスの田舎の古くさい台所と言った感じ。新しく台所を改装したいものだが、予算の関係で台所の改装をするのは全く無理。そんな訳で、換気扇の壁の部分のレリーフは主人が電動ヤスリでホコリをもうもうとさせながら削り取って時間で平らな壁に変身した。

 

ユニット棚はクラシックだけれど棚の作り付けはしっかりしている。ヨーロッパのDIYの店では棚のパーツを別々に購入できるので、新しい扉だけを購入して、扉だけのリフォームを考えた。

ペンキを塗り終えた台所
ペンキを塗り終えた台所

でもこまった事につだけ規格外の棚が有り、そこに合う大きさのちょうどいい既製品の扉が見つからない。それなのでとりあえず棚を試し塗りしてみた。色合いは無難なクリーム色に。それなら気に入らなかった時もその上から塗り替えも簡単かなという単純な理由。娘がブツブツいいながらも一人でペンキ塗りをしてくれて、一日であっというまに変身。そして、唐草模様の扉の取っ手をはずして、シンプルな直線的な取っ手に付け替えてみた。

棚に取っ手が付いて、新しい食器洗い機とガス台がはいった
棚に取っ手が付いて、新しい食器洗い機とガス台がはいった

わたしの希望通りの台所とは言わないが、低価格、しかも速攻であのクラシックな台所がちょっとだけモダンな明るい台所に変身してくれた。

 

大々的なリフォームをするにはお金も時間もかかるけど、こんな風にちょっとだけのお試しの台所変身術は思ったよりも効果があった。そして、ペンキ塗りをして髪がペンキだらけになってしまった娘も、思いっきりショートに髪をカットして、ついでに変身。

 

 

2012.2.15