Chapter 6:壁のペンキ塗りは、自己流で

北フランス・海辺の別荘改装記(6)

暖房がつき、新しいお風呂場のシャワーが使えるようになるとなんだか急に家らしくなる。

家具や荷物も運び始め、これからが私たちの正念場。ペンキ塗りと床張りだ。日本ではどの家も、内装屋さんが絨毯や壁紙を貼ってくれるが、こちらでは壁紙張りやペンキ塗りはどこの家庭でも自分たちでやっている事。

音楽にあわせて
音楽にあわせて

大きなローラーと刷毛で、大音響でローリング・ストーンズを聞きながら家族全員でペンキを塗る。リズムにのってローラーや刷毛を動かす。我が家の犬シリウスまで、張り切ってしっぽの刷毛でペンキ塗りの手伝いに励んでくれる。まずは下地の白ペンキを塗っていく。こうして時間をかけて家でペンキを塗っていると、家の中の一日の日差しの変化が見えてくる。そうすると、何となくどんな色にこの壁を塗ろうかナ? とインスピレーションがわいてくる。気がついたらリビングの壁がひとつだけ、真っ赤になっていた。そこに、一番最初にカッサンドルの船のポスターを掛けた。

 

「人生で3軒目の家が、自分の理想の家になるのよ」と母が言っていた。いろいろな失敗をして試行錯誤して、やっと3軒目になると自分の理想の家の形になるのだという。

 

この海の家は私たち夫婦が買った2軒目の家。50歳にして、2軒目だからけっこうヨーロッパでは遅い方かもしれない。 のんびりと時間をかけてこつこつと夫婦で作り上げている家。理想的な家?とはとても言えないが、二人で改装工事のために結構夜遅くまで話し込んでいる。そうなんだ、この家のおかげで、ちょっと会話が少なくなりかけていた私たち夫婦の間に、二人だけの楽しみが増えたような気がする。

家族みんなでペンキ塗り
家族みんなでペンキ塗り

2011.6.27