Chapter 7:海を眺めるダイニングテーブル

北フランス・海辺の別荘改装記(7)

台所とリビングの壁をぶち抜いたら、思ったよりも広い空間が現れた。それなので、予定していたダイニングテーブルの位置を変えてみた。そうしたら、ダイニングテーブルに座っている全員から公平に海が見えるようになった。 この家が出来てから、週末になると友達が海と魚料理を目当てに我が家に遊びにくるようになった。
地元でとれたカニや牡蠣、ホタテ貝を食べてワインとチーズで夜更かしするディナーもいい。しかしなんといっても素敵なのが、音楽を聴きながら、のんびり海を見ながらの週末の朝食。毎朝、パン屋のおじさんが赤いトラックに乗って、焼きたてのクロワッサンとフランスパンを家の前に届けてくれる。その焼きたてのクロワッサンとジャムと紅茶だけの簡素な朝食だが、以前に比べて、この週末の朝食の時間がなんと長くなっていた。気がつくと、2時間くらい、みんなで座り込んで話し込んだり、勝手に新聞を読んだり。ただ単に海の変化をのんびり眺めたり。

都会にいたときには、同じ生活をしていてもなんだか毎日慌ただしく過ごしていた。朝ご飯なんて、15分もあれば十分という毎日。それが、この海の家に移ってから、朝食の時間がすっかり変わってしまった。海を眺めながらのテーブルでは、皆がおしゃべりをしなくても、何となく充実した時間がただようのはどうしてだろう?

 

ただ単に家の中から海が見えるだけで、 時間の流れがこんなにまで変わるなら、世界中が海の見える家になったらどんなに素敵なのだろう。

2011.7.25