Chapter 11:灯台大通り

北フランス・海辺の別荘改装記(11)

フランスの道路の名称は本当に沢山ある、一般的に使われているだけでも

  • l'avenue (都会の)大通り
  • le bourlevard (並木のある)大通り
  • 
le chemin 道
  • 

la route (車の通りが多い)道
  • 
la rue 道
  • 
la ruelle 路地

道路の大きさや位置、そして道の成り立ちになどにより色々な名称があるようだ。

<pフランスの我家の前の通りは「灯台大通り」という立派な名前だ。この通りの名前の由来は我が家の裏手にある赤い屋根の灯台。確かに海の見晴らしのいい広い通りなのだが、「大通り」と呼ばれるわりには本当に通行量が少ない。一日の交通量がオフシーズンだと10指に数えられるくらいしかない本当に静かな所だ。

この「灯台大通り」の海の家を買った時に、玄関脇の大理石の階段の踊り場に四角い花壇が付いていて、その花壇には造花が植わっていた。花壇の形のためか?それともこのくたびれた造花のせいか? それに、あたりの静けさも加わってこの造花で飾られた花壇が「まるでナポリの墓地の墓石のようだ」と、この家を最初に見に来た時に思ったものだった。

この家を買って真っ先にしたのは、前の大家が置いていった花壇の色あせた造花を捨てる事だった。花壇の土を取り除いて、海岸から拾ってきたきれいな小石を花壇に詰めた。そしてその小石の上に主人のコレクションの船の模型を飾る事にした。いくつかの彼の模型コレクションの中から赤い船体の日本の南極観測船「宗谷」を二人で選んだ。

                      
                      

花壇に備え付けてあったライトは、近くのお土産屋さんで見つけた“ブリキの灯台の形をしたろうそく立て”をランプシェードに改造して付け替えた。すると、ブリキの灯台と灯台守の家の小さな窓からぼんやり光りがもれるようになり、この小さな灯台が、南極観測船「宗谷丸」の行く手を守ってくれているように見えるようになった。

 

夜になると我が家は、大きな本物の灯台の光りと、おもちゃのブリキの灯台の明かりがともるようになり。 まさしく「灯台大通り」の名前にふさわしい海の家になった。

 

 

 

2012.8.6