Chapter 12:絨毯は修繕してつかうもの

北フランス・海辺の別荘改装記(12)

レンガや石造りの北ヨーロッパの家は、今は集中暖房があるからどの部屋も快適に過ごせるようになったが、集中暖房が無かったころの暖というと、暖炉がたよりでタイルや石作りの床からはしんしんと冷気が伝わりさぞかし冷え込んでいたのだろう。そのせいかヨーロッパ人は織物が本当に好きだ。壁に掛けて防寒と装飾をかねたタピストリーもあれば、冷たい床を飾り、寒さを防ぐ絨毯は重要なインテリアの一つである。

主人の実家のペルシャの絨毯は義父が中近東に仕事に行く度に一枚ずつ買い求めたもので、絨毯の裏には、その絨毯の産地や年代が書かれた証明書がアラビア語でついている。その模様や、絹や羊毛といった材質によってその絨毯の産地が解るといわれており、 義父は「美術収集はしないけど、絨毯にはお金をかける」といっているだけの事があり、その細かい織り目の織りなす模様はなかなか繊細で素晴らしいものばかりだ。そんな、実家の影響からか、主人も絨毯が好きで、何かと仕事で中近東に出かける度に絨毯を買い求めてくる。そして、先日はお友達があまりに大きすぎて彼女の家には入りきらないというキリム絨毯を安い値段で譲るというので、それを衝動買いしてきた。でもよく見るとこの絨毯、結構沢山の穴が空いている。修理に出すほどには上等な絨毯ではないけど、このまま使うと穴に足を突っ込んでひっくり返る危険性もあり。

ということで、私が絨毯のリフォームをする事に決めた、幸い義母が残してくれていた色とりどりの毛糸があり、その中から良さそうな色合いを合わせて、私が子供の時に初めて自分のお金で買ったキャロル•キングのレコード <Tapestry>を聞きながら。 縦糸と横糸だけで作る模様の複雑さに感心しながら。そう、私の人生も色々な色で織られたつづれ織り。


My life has been a tapestry of rich and royal hue

An everlasting vision of the everchanging view

An wondrows woven magic in bits of blue and gold

A tapestry to feel and see, Impossible to hold

わたしの人生は豊かで気高い色合いのつづれ織り

つねに変わりゆく眺めの いつまでもつづく未来像

ブルーとゴールドの不思議な織りの魔法

見ることと 感じれられることだけで

つかまえておくことの不可能なつづれ織り

 

2013.11.5