「あこがれの谷川岳」

私のあこがれの山のひとつに谷川岳があった。谷川岳の冬山は「魔の山」と言われていて、日本有数の大岩壁「一ノ倉沢」があり、その険しさから多くの登山家を惹きつけ小説の舞台にもなっている。

 

6月14日出発、今回のコースは土合口からロープウエイで天神峠まで行き、そこからのスタートとなる。天神尾根から肩ノ小屋を通り、 へんてこな名前だけどトマの耳、谷川岳の最高峰オキの耳という双耳峰の頂上に立ち、帰りは同じコースを戻る約4~5時間の行程。標高は2000mだが、アルペン的な景色の割に初中級者にも登りやすく、かつ変化に富んでいるのが谷川岳の人気となっている。

 

前夜、ガイドさんから電話があり「雪がまだ解けてないところがあるのでアイゼン(雪山を歩くときに滑らないよう鉄のツメが付いた装備を靴の上から履く)を持って来て下さい」。 夏なのに雪山があるんだ! どんな山なんだ? 楽しみ半分、不安半分。

天神尾根歩きはブナ林の木漏れ日の中をルンルン気分で歩き、ガレ場(岩や石ころの地帯)を過ぎて、肩ノ小屋の前に例の大雪渓が横たわっていた。登り はアイゼンなしでも大丈夫だったが、下りは滑ると下界まで真っ逆さま~なのでアイゼンを装着して慎重に下った。滑り落ちないでよかった~。超緊張した~。

 

トマの耳からオキの耳は両側断崖の稜線歩きで、スリル満点、雄大な展望も満点。あまりよそ見をするとすぐ下は断崖なので、足元をみたり景色を見たりと忙しい。天気も変わりやすく、下界の展望が開けたかと思うと、いっきに雲が押し寄せて当たり一面あっというまに真っ白になったり、そのた びにまわりから歓声があがる。山の天気と女心は変わりやすいというけれど、女はこんなに一瞬には心変わりしないと思うけどな~。

2010.6.28