もう女でなくなった私?!

私はこれから、「ヨーロッパ女性のメノポーズ対処法」を取材することになった。ならば、まずは、最初に自分のことから書こう。

 

私は50代に入り、毎月の出血が減ってきた。51歳の時に産婦人科の医者から、メノポーズの検査を勧められた。確かにこのままピルを飲み続けていても排卵が無くなっているのなら、無駄な薬を飲んでいる事になる訳で、検査をしようかな?と思いながら、何となくメノポーズになった事が立証されるのが嫌で、そのままほっておいた。

 

取材でいろいろな友達にメノポーズのことを聞く事になり、いやはや、私の周囲はみなすでにメノポーズ世代がほとんどだと言う事がわかった。早い人は48歳くらいから急に生理が無くなった人もいる。

 

そんな訳で、52歳にして勇気を出してメノポーズの検査をした。検査といってもただの血液検査だけだが、それをするのは気が重かった。1週間が経ち、医者からの手紙が届いた。「検査の結果、貴女はメノポーズですのでもう排卵はありません。いままで飲んでいたピルは必要ありません。メノポーズの諸処の症状がでた時には、この薬を飲んでください。」ということで、手紙と一緒に薬の処方箋が入っていた。

 

私の歳だからもう当たり前だけれど、でもなんだか自分が女でなくなったようでがっくり来た。私とは反対に、15歳の娘は学校の友達でまだ初潮が始まっていない女の子もいて、皆いつ初潮が始まるのかを気にしている。そしていざ初潮が始まると、生理なんか無い方がいいのにと叫んでいる。

 

今の私には 白髪、老眼、間近に迫る定年退職、そしてメノポーズの各種の症状。なんだか明るい未来が消えて、すっかり十歳も歳をとった気分になった。反対に初潮が始まった娘は急に女性らしくなり、つぼみが大きく花開くように、日一日と美しくなって行く。娘と二人で連れ添って歩いていると、男性の視線は若い私の娘に注がれているのがわかる。これも自然の摂理、世代交代なのだろう。

 

男友達が離婚した。しばらくして彼の前妻が他の男性と再婚した。その時に彼が「俺の前の奥さんはメノポーズなのに、よくも好きこのんであんなメノポーズの女なんかと再婚した物好き男もいるものだ」と言った。その一言がずっと私には引っかかっている。

 

メノポーズの女は、男にとってもう女ではないのだろうか? あの時、私は彼を思いっきりぶん殴っていれば良かったのかもしれない。でも、私の心の底に彼の言葉を否定できない弱さがあったのだろう。メノポーズの私は女なのか?

 

2010.5.24