「はるばると屋久島縄文杉」

尾瀬に行ってから山に魅了され、東京近辺の山を日帰りで歩くようになった。山歩きというよりもハイキングと言った方がふさわしいが、よくあんな無謀な事をやったなと、今から思うと冷や汗がでるような山歩きもあった。私たち超初心者の怖いもの知らず集団は、「婦人部山部」を作って意気揚々と山歩きを楽しんだ。

 

ある日、屋久島縄文杉を何かで見て、「よし! 屋久島へ行こう!」と突然思いついた。7歳年下の奈美さんに話すと、即決定。ちょっと寒いけど3月10日から3泊4日で屋久島に出発した。

荒川登山口標高600mから縄文杉標高1300mまでの日帰り往復11時間を2人で歩くのはちょっと不安で、現地ガイドの方に案内を頼む事にする。当日ガイドさんには朝4時に迎えに来てもらい、お弁当2食分を持って車に乗り込む。荒川登山口に車を止め、まだ暗い中ヘッドライトを頼りにトロッコ道を歩くこと 3時間。だんだん屋久杉の原生林の森に入って行き、薄暗い森の苔蒸した道を歩く。神秘的で森の息遣いが聞こえるようだ。屋久島は1ヶ月に35日雨が降ると 言われ、豊かな水に育まれた巨木の屋久杉たちには色々な名前がついている。ウイルソン博士が発見した切り株は中が空洞で10人以上は入りそう、大王杉、二股に分かれたくぐり杉、圧倒されながら歩く。

昨夜は雪が降ったようで、所々白く残っている。ガイドさんが「もうすぐ木の階段があるので滑らないように下を見て登って下さい。危ないので上は見ないように。・・・・じゃあ、いいですよ、はい、上を見て!」

 

わーーーっ! 縄文杉だ! で、でかい! すごい!

推定樹齢7200年を数え、悠久の時を生きた神の宿る木といわれる縄文杉が目の前にあった。ガイドさんの心憎い配慮で、私たちは感動的な対面をした。後で屋久島文化センターで縄文杉の断面の実物大を床に書いてあったのを見たが、10畳はあったと思う。根を保護するため近くには寄れないけれど、言葉にできないほど感動して、しばらく無言・・・。

登山道は整備されていて道に迷う心配はなく、ガイドさんは不要だったかなと思ったが有難さがすぐにわかった。帰り道、奈美さんが体 調をくずし、歩くのがつらそうになってきたのだ。屋久島の森の神様、縄文杉様、奈美さんを助けて下さいと歩きながら祈っていた。ガイドさんがトランシーバを出して何やら話している。「トロッコに乗せてもらって登山口まで降りる事になった。もう少しだから頑張って歩いて。運が良かったね。」 本当に良かった。私も一緒に乗せてもらえるかと思ったら、そんなに甘くはなかった。雨もしとしと降ってきて、マイナスイオンを浴びまくり鼻歌を歌いながら 下って、無事奈美さんと再会。奈美さんも元気そうで、縄文杉に癒されて二人共ニコニコ笑顔満面。

田口ランデイさんの「ひかりのあめふるしま屋久島」という本は、屋久島の事がよく書かかれている。宮崎駿の映画「もののけ姫」は、屋久島の白谷雲水峡の森がモデルになっている。宮崎駿様、屋久島の森をこんな表現をなさるあなたは天才です。

2010.4.26