近くて奥深い丹沢山

東京にもいい山があるのです。正確には神奈川県ですが都心から近く、自分の体力に合わせて楽しめる山として人気がある丹沢山です。奥の深い山なので、縦走するには山中1泊は必要となります。今回は1泊2日で4月26、27日に、小田急線秦野駅からタクシーでヤビツ峠まで行きここから登り始めました。1日目は塔ノ岳の山小屋「尊仏山荘」に泊まり、2日目は丹沢山、蛭ヶ岳、姫次を経由して東野まで縦走しました。帰りはバスで橋本駅へ向かいました。
霧の中
霧の中
1日目はあいにくの雨でしたが、風はなかったのでちょっと安心して出発です。実は、私は静かな雨の中の山歩きは意外と好きなのです。マイナスイオンを浴びながら、ガスのかかった景色を横目に見ながら、たまに墨絵のような素晴らしい風景に遭遇するのです。思わず立ち止って声をあげて見とれてしまいます。私に絵心があればなぁ、刻々と変化する風景を表現できたらなぁと、そんな風景に出会う度にいつも思います。神様が作られた風景、神様が気まぐれに登山者へ下さった一瞬のプレゼントだと私は勝手に思っています。山に畏敬を感じる瞬間です。
洋画家の吉田遠志さんという方が、冬の穂高を描く為にキャンバスを背負って冬山の穂高に登って絵を描かれていたと聞きました。写真ではなく自分の目と足で体験した冬山の厳しさ偉大さが表現されたすばらしい作品をたくさん描かれています。世の中にはこんなすばらしい方がいらっしゃるのですね。吉田先生、風景の描写はお任せします! 私は見るだけに致します。
左:山頂の祠 右:工事中の尊仏山荘
左:山頂の祠 右:工事中の尊仏山荘
頭のてっぺんからつま先まで、雨と汗でびっしょりになって山小屋にたどり着きました。山小屋の中はストーブが炊かれていて暖かく天国です。先に着いていた方達が駆け寄って来て、ぐしょぬれの私達のザックや合羽を脱ぐのを手伝ってくれて、ストーブの前に座らせてくれます。このやさしさがうれしくて心も温まります。山小屋では、食事までの間にお酒を飲みながらのおしゃべりが又楽しいひとときです。今回はワインを1本ザックに入れて持ってきたつわものがいて、おしゃべりもいっそう盛り上がります。この山小屋には毎朝登って来る有名人がいて、出勤前に登るそうで時間も恐ろしく早く、確か1時間半で登って来るとか。私達は4〜5時間かけて登って来たのに。
左:丹沢山頂上 右:富士山がくっきり
左:丹沢山頂上 右:富士山がくっきり
翌朝楽しみにその方を待っているとやって来ました。短パン、Tシャツの軽装備で、全身筋肉の固まりです。登山という格好ではないです。こんなに早く駆け上って来るのであれば、遭難の心配もないので装備も必要ないのですね。コーヒーと菓子パンを食べられてノートにメモされてすぐ駆け下りて行きました。世の中にはすごい方がいらっしゃいます。
2日目は雨も上がりいいお天気でしたが下り道は長く、風景にも飽き、退屈してばててしまいました。写真は休憩時に横着に座ったままで取ったものです。雨上がりの緑がとてもきれいでした。
左:雨上がりの新緑 右:下界が一望
左:雨上がりの新緑 右:下界が一望

2011.1.7